司法取引(協議・合意制度)の概要

司法取引(協議・合意制度)の概要

第1 概要

平成28年の刑事訴訟法改正、平成30年6月1日から施行

利益誘導すると証拠能力がなくなる、という前提の例外を制度化

 ※『被疑者が、起訴不起訴の決定権をもつ検察官の、自白をすれば起訴猶予にする旨のことばを信じ、起訴猶予になる

  ことを期待してした自白は、任意性に疑いがあるものとして、証拠能力を欠くものと解するのが相当である』

  (最判昭和41年7月1日)

被疑者・被告人が、①特定の犯罪について、②弁護人の同意を前提として、③関連する他人の特定の犯罪に関し、④真実の供述などをした場合、⑤検察官と被疑者・被告人との間で、被疑者・被告人に利益を与える合意をすることができる。

 

第2 法律の解説

 ①特定の犯罪

   強制執行妨害、文書偽造、贈収賄、詐欺、恐喝、横領、組織的犯罪処罰法違反、税法違反・独占禁止法違反・金商法

   違反・特許法違反・貸金業法違反・不競法違反・破産法違反・会社法違反など財政経済関係犯罪、その他の法律違反

   (爆発物取締罰則、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法、武器等製造法、あへん法、銃刀法、)、犯人隠避、証拠

   隠滅etc.

 

 ②弁護人の同意

   合意には連署による同意が必要

   協議にも弁護人の必要的関与

 

 ③他人の特定の犯罪

   不利益な供述をする対象者に関する罪も、特定の犯罪である必要がある

 

 ④協力行為

   検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して真実の供述をすること。

   証人として尋問を受ける場合において真実の供述をすること。

   検察官、検察事務官又は司法警察職員による証拠の収集に関し、証拠の提出その他の必要な協力をすること

 

 ⑤合意

   不起訴(検察審査会の例外あり) 公訴取消し 軽い罪・事実での起訴(不変更) 

   軽い罪や事実への訴因・罰条の変更 軽い求刑 即決裁判 略式命令

 

 ⑥合意違反・離脱

   最終的に合意が成立しなかったときは、協議の際になした供述が証拠にできない

   合意後、被疑者・被告人が合意に違反した場合(虚偽の事実であることの自白・判明)、検察官は司法取引を破棄で

   き、虚偽供述や偽造について5年以下の懲役(免除あり)

   合意後、検察官が合意に違反した場合、裁判所は公訴を棄却(訴因・罰条の維持についてはその不許可)し、当該証

   拠は証拠にできない(同意すれば可能)

 

第3 事例

 タイの発電所建設に絡み、事業を受注した三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の社員らが現地の公務員に現金を渡したという事案で、法人が不正競争防止法違反につき不起訴に

 →本来であれば両罰規定で法人も処罰されることが予測されたが、「会社」(被疑者)が「社内の従業員」(他の被疑

  者)に関して情報を提供した結果(協力行為)、合意に基づき不起訴になった(合意)

  ⇒制度の本来の趣旨と合致しているのかという批判がある

   トカゲのしっぽ切りを防ぎ、親玉を叩くための制度

   利益を得ていた会社が従業員を売って不起訴

   協議・合意前に3年は捜査していて意味がなかったのでは

 

(平成30年8月27日発行 文責:石﨑冬貴)

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