暴行及び傷害事件において、送致を防いで不処罰となった事案

罪名:暴行及び傷害事件において、送致を防いで不処罰となった事案

 

1.事案の概要

本件は、飲食店内でのトラブルを発端に、店員及びお客さんの二名に暴行をはたらき、お客さんには怪我も負わせてしまったという事案です。暴行罪と傷害罪に問われていました。

本人は事件を認めて反省もしていたことから、お店及びお客さんとの示談を成立させ、不処罰を目指す方向で進めることとなりました。

 

2.暴行と傷害、それぞれの示談のポイント 

刑事事件で被害者側との示談を目指す場合、基本的には示談金を支払い、本人の謝意や誠意を示すことが必要となります。
暴行事件の場合、標準的な示談金額を一つの基準として、事件内容に応じて金額を検討することになります。

 

傷害事件の場合も、基本的な考え方は変わりません。ただし、傷害事件の場合には怪我の程度(治療に要する期間や後遺障害の有無など)が一つの判断基準となるところ、事件後間もなくの時点では治療が終わっておらず、これらの事情が不確定な場合があります。そのため、被害者から「治療が終わるまで示談は待ってほしい」と求められることも少なくありません。

 

この場合には、治療の終了を待つか、または将来的にかかるであろう治療費等を想定した示談金額を提示するという対応になります。前者には示談金額を抑えられるかもしれないが時間を要するという特徴が、後者には早期解決が望めるが示談金額が上振れしかねないという特徴がそれぞれあります。どちらを選択するかは、事件の内容や、後述する捜査機関の対応などの事情を考慮して慎重に検討します。

 

3.送致を防ぐための早期示談成立を目指す

本件では、傷害事件についてのみ被害届が出されており、暴行事件については被害者が被害届を提出するか検討中であるという状況でした。また、まだ正式な取調べは行われていないということも分かりました。

このように捜査が進展していない初期の段階においては、被害者に被害届を取り下げてもらうことによって、送致もせずに事件を終結させられる場合があります。

 

送致されなければ、当然、何らの刑事責任を問われることもなく終わります。送致されれば検察官によって刑事処分を検討されることになるので、特に前科前歴がある場合などには、不送致で終える利点は大きいといえます。

この点を警察官に確認したところ、本件でも①傷害事件について被害届が取り下げられ、②暴行事件についても被害者が被害届を提出しないのであれば、警察としても送致せずに終える考えであることが確認できました。

 

実は本人には、傷害罪での前歴がありました。そのため、傷害事件については上述した早期解決が望める方針を採り、本件を送致されずに終えられるよう弁護活動を展開することとしました。

 

4.本件での示談交渉

本件では、幸いにもどちらの被害者の方とも示談を成立させることができました

 

傷害事件の被害者の方は、やはり治療途中であることから金額面で悩まれていました。そこで、用意した賠償額が、業界内での基準などに照らしても標準的な金額を上回ったものであることなどもお示しし、不安を解消してもらうよう努めました。最終的にはこちらの説明に納得していただけて、被害届を取り下げることを内容とする示談が成立しました。

 

暴行事件の被害者の方は、示談金よりも本人の様子を確かめたいということでした。そこで、本人と共に直接お伺いし、謝罪と反省の意をお伝えしました。直接お話することで本人の気持ちが伝わったようで、本件については被害届を提出しないことを内容とする示談が成立しました。

 

5.本件での結果

以上のように、傷害事件については被害届を取り下げる示談が、暴行事件については被害届を提出しない示談がそれぞれ成立しました。

 

この旨を警察へ報告したところ、当初の想定どおり、本件については送致せずに終結することになりました。
本件は、早期の示談成立に向けた弁護活動が奏功し、本人にとって良い形で解決することができた事案といえるでしょう。

 

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