有料サイトに児童ポルノ動画公開で逮捕。どういう場合に公開者が発覚・逮捕されるか解説します
1 報道の概要
2022年10月ごろ、有料で閲覧できるインターネットサイトに10~13歳ぐらいの児童の裸が写った動画など十数点を投稿し、不特定多数が見られる状態にしたという児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)などの疑いで、会社幹部の男性が逮捕されました。警察は、容疑者が収益を得る目的でわいせつ動画を公開した疑いがあるとして捜査しています。
報道によると、これは再逮捕(既に逮捕・勾留された人物を、釈放直後又は勾留中に再び逮捕をすること)とのことです。最初の逮捕は、アプリで公開されているわいせつ動画の閲覧用パスワードを繰り返しツイッターに投稿しているのがサイバーパトロールで発覚し、児童ポルノ動画が記録されたハードディスクを自宅で所持したという児童ポルノ提供目的所持の容疑でした。
2 海外の有料サイトへの公開の場合は投稿者の特定が難しい
海外の有料サイトへわいせつ画像を投稿すること自体、わいせつ物公然陳列(正確にはわいせつ電磁的記録媒体陳列罪)となりますし、それが18歳未満ならば児童ポルノにも該当します。
ただ、実は、なかなか逮捕まで至らないことが多いのです。
なぜならば、誰がアップロードをしたかは、そのウェブサイト運営者やプロバイダー等しか分かりません。しかしながら、(とりわけ海外のウェブサイトの場合)そのウェブサイト運営者などの協力を得られない場合がとても多いのです。
そのような中で、なかなか投稿者を特定することができず、従前はなかなか捜査できていないところでした。
実際、報道されている有料サイトへの公開の逮捕事例ですが、ほとんど一定の動画配信サイト(FC2やAVマーケット)の事例に限られています。
3 その有料サイト運営者が捜査協力したり摘発されたりするか、別件で捜査されるかのどちらかしかない
AVマーケットは運営者が逮捕されて、そのサーバー情報を取得できたために、アップロードした人を特定することができました。
また、FC2については、(実情はよくわからないところはありますが)一定の捜査協力をしているように思われます。このように、有料サイトの運営者が協力したり、また摘発されたりして、その情報が警察に流れるような場合は、投稿者が逮捕されることがあります。
もう一つ、重要なパターンがあり、それが、別の件で逮捕されて、その中で捜査を進める中で投稿の事実が発覚するような場合です。この報道事例も、もともとはTwitterで、動画共有アプリのパスワードを掲げていたことから捜査がスタートしています。そのなかで、有料サイトへのアップロードも発覚したものと考えられます。
一方で、それ以外で逮捕された事例というのは、今のところ聞いたことがありません。
以上のように、その有料サイト運営者が捜査協力したり摘発されたりするか、別件で捜査されるかのどちらかしかないというのが実情だといえるでしょう。
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