「乱交パーティー」事件を刑事弁護の専門家が解説いたします

1 事件の概要

先日、乱交パーティーを主催し、女子高校生(当時17)にみだらな行為をさせたとして、住所不定、自営業の男(31)が、児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで追送検されたという報道がありました。容疑は、2年前の6月ごろに、東京都のホテルで、女子高校生を囲み退出できないようにし、みだらな行為に応じさせたというものです。乱交パーティーの客9人についても、同様に書類送検がされたとのことです。

男性が同様の別事件で6月ごろに逮捕されてから、乱交パーティーに関する刑事事件がネットで多くとり上げられています。

今回は、この報道を前提に、性犯罪事件の弁護について解説します。

 

2 男性が送検された児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反とは?

男性は、児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで書類送検を受けています。男性や、客となったという他の被疑者たちは、どのような嫌疑をかけられているのでしょうか。
⑴ 児童買春・児童ポルノ禁止法の規制
18歳未満の相手に対価を与え、またその約束をするなどして、性行為などをすると、いわゆる児童買春にあたるため、児童買春・児童ポルノ禁止法違反になります。

法定刑は、5年以下懲役または300万円以下の罰金とされています(児童買春・児童ポルノ禁止法4条)。

また、児童買春を周旋すると、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金にあるとされています(同法5条1項)。

さらに、児童との性交などを動画で撮影すれば、児童ポルノの製造にあたるため、その点も検挙される可能性があります(3年以下の懲役または300万円以下の罰金、同法7条5項2項)。

⑵ 児童福祉法の規制児童福祉法は、18歳未満の相手に淫行させる行為を禁止しています(児童福祉法34条1項6号)。

法定刑は、10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金です(児童福祉法60条1項)。

さらに、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為(有害支配)も罰せられており、法定刑は3年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています(児童福祉法34条1項9号、60条2項)。

男性たちは、このような規制に違反したとして、書類送検をされた可能性があるでしょう。

相手が性的な行為に同意していたとしても、これらの犯罪が成立するということが重要です

 

3 十八歳未満の人が参加する乱交パーティーへの出席は逮捕や正式裁判の可能性がある

一般に刑事事件は、逮捕、送検、勾留、起訴、裁判の手続きを経て処分が決まります。

男性は、今年の6月にも、児童福祉法違反で逮捕されたと報道されています。男性は、2年前の5月ころにもパーティーを主催したという、今回(2年前の6月ころ)と類似の事件で疑いをかけられ、逮捕されたようです。

おそらく、その逮捕の際に、6月のパーティーが芋ずる式で発覚し、5月のパーティーの事件に追加して送検されたのだと予想されます。

いずれしても、児童買春・児童ポルノ禁止法違反や児童福祉法違反は、逮捕の可能性が十分あります。先ほども述べたように、これらの犯罪は、18歳未満を対象にした行為を取り締まっています。ですから、当時は自覚が無かったとしても、18歳未満の相手が参加する乱交パーティーに参加してしまうと、逮捕される可能性が出てきます。

また、児童福祉法違反は、一般に、児童に対する性犯罪の中でも重大なものを取り締まっています。

児童福祉法違反が成立するための条件は厳しいところがありますが、今回のケースでもし違反になると判断されれば、起訴のうえで正式裁判が開かれ、懲役か執行猶予になるかの議論になる可能性が高いでしょう。

 

4 示談交渉の難しさなど

こういった事件の依頼を受けた弁護人は、少しでも早く被疑者を拘束から自由にし、処分を下げるようにするために尽力するはずです。

ただ、今回のようなケースでは、弁護活動は難航する部分もあると思います。まず、男性を身体拘束から解放しても、他の被疑事実が存在していれば、再逮捕される可能性があります。また、パーティーの客もふくめ、多くの被疑者が被害者に謝罪金の支払いや謝罪をしようとするため、被害者も対応に困ってしまい、しまいには話合いに応じる気持ちが薄れていく可能性もあります。

そもそも、本当に児童買春がされていたのならば、謝罪金で示談をすることが、第2の買春と言える側面もあり、検事がこれを良しとしない場合もあるでしょう。

 

5 それでも刑事弁護人に依頼する意義

以上のように、乱交事件では、示談交渉によって相手の方と話合いの解決をし、不起訴にまで持ち込むには高いハードルがあります。

それでも、少しでも反省の意思を伝えるため弁護士に弁護を依頼し、謝罪や謝罪金のお支払いをしていくことは、起訴後の情状にも大きく影響する可能性があります

また、弁護人が付いていれば、逮捕や勾留から少しでも早く解かれるために、尽力してもらえます。

さらに、児童福祉法違反は要件が厳しいので、その部分を不起訴にしてもらえないか交渉してもらうことも考えられるでしょう。弁護活動が一定程度うまくいけば、パーティーの客の立場であれば、児童福祉法違反については不起訴、児童買春については不起訴か、罰金刑にとどめてくれる可能性もありえるところです。

 

6 みだらな行為に加担してしまった方・家族が悩まれている方は弊所までご相談を

今回、私も本稿を書くにあたって、今回の「乱交パーティー事件」の記事をリサーチしました。すると、今回の事件とは必ずしも関係なく、ネット上では、神奈川県での乱交パーティー開催事情を取材してまとめているようなページも見当たりました。

しかしながら、今回や過去の事件を踏まえれば、乱交パーティーへの参加は、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、児童福祉法違反、ひいては強制性交罪等の性犯罪に加担してしまうリスクの高い行為であることがお分かり頂けたかと思います。ネットの情報は注意深く検討して頂きたいと思います。

もしパーティーの中に児童がいたとすれば、逮捕の可能性が十分あります。もしも最近の報道を見て悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、逮捕の可能性を下げるような弁護活動も存在していますので、弁護士に相談するとよいでしょう。

お悩みの際は、まずは弊所までご相談下さい。

 

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