特殊詐欺事件において、執行猶予付き判決を得た事案
罪名:詐欺等
最終処分:懲役3年 執行猶予5年
1. 事件発覚からご依頼まで
本件は、20代の方が、特殊詐欺における受け子(被害者からカード等を受け取る役)や出し子(受け取ったカードでATMから現金を引き出す役)をしてしまい、詐欺等の罪で逮捕・起訴されたという事件です。
ご家族から、何とかして執行猶予として欲しいと弁護のご依頼を頂きました。
2. 特殊詐欺事案の特徴
特殊詐欺事案の特徴としては、とにかく実刑の可能性が高いことです。
現在、特殊詐欺の加担者は厳しく処罰される傾向にあり、受け子や出し子といった末端の加担者かつ初犯であっても、実刑となるケースが多くあります。
本件は被害者5名以上、被害金額200万円以上という事件でしたが、このような被害内容であれば、基本的に実刑は免れません。唯一、執行猶予の可能性があるとすれば、被害者の方々と示談等が結べた場合だけです。
そのため、依頼を受けるにあたってご家族には、実刑もあり得る非常に厳しい状況であることは前もってお伝えしました。
3. 弁護活動の流れ
上述のとおり、被害者の方々との示談等が最重要となるため、計画的かつ慎重に交渉を進めていく必要があります。本件でも、計画を策定した上で、被害者の方々に対し、弁護人から誠実かつ丁寧にお話をし、示談締結に向けてお話を進めていきました。
その結果、多くの被害者の方々と示談を締結することができた一方、どうしてもお話を聞いていただけない方もいました。詐欺被害に遭われ、とてもつらいお気持ちになっているので、そのようなことも当然でもあります。
このような場合、弁護人としては様々な事情を考慮の上、次善策を講じていきます。本件では最終的に、その方に対する被害金額と同額を贖罪寄付することとしました。
このようにして示談等を進めた上で、裁判では、他の酌むべき事情も併せ、執行猶予獲得に向けた弁護活動を展開しました。その結果、懲役3年 執行猶予5年という判決となりました。
4. 弁護士からのコメント
執行猶予は懲役3年以下の場合にしかつけられず、執行猶予自体は最長で5年です。
つまり、懲役3年 執行猶予5年というのは、執行猶予を付けられる判決としては限界となるものです。それだけ、本件は実刑ギリギリの厳しい状況にあったといえます。
本件のようなケースでは、示談締結を目指すことは勿論、それが叶わなかった場合にどのような対応を講じるかも非常に重要となります。
同様の状況でお悩みの方は、一度弊所までご相談ください。
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