雇用調整助成金を騙し取った疑いで副社長らが逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
新型コロナウイルスの影響で従業員が休業していたとうその申請を行い、国の雇用調整助成金約480万円をだまし取ったとして、宿泊施設を運営する副社長と社会保険労務士の2人が逮捕されました。
昨今、雇用調整助成金の不正受給の疑いで逮捕される事件が相次いでいます。
今回は、雇用調整助成金を不正に受給した場合にどのような刑事処分を受ける可能性があるか、有効な刑事弁護にはどのような手段があるか、解説します。
2 雇用調整助成金の不正受給はどのような罪に問われる?
雇用調整助成金の不正受給は、詐欺罪にあたる可能性があります。詐欺罪は、「10年以下の懲役に処する」(刑法246条1項)と規定されており、罰金刑が定められていませんので、起訴されると正式裁判になります。
今回の件でも、従業員が実際には働いていたのに、休業していたという嘘の申請をしていたのであれば、それが詐欺罪の行為になり得ることから逮捕されてしまった、典型的なケースではないかと思います。
3 誰が逮捕されて罪に問われる?
雇用調整助成金の不正受給を指示していた人だけでなく、その指示を受けて重要な関与をしていた人は、詐欺罪の共犯として処罰されるだけでなく、逮捕される可能性が高いです。
今回のケースでは、副社長と社会保険労務士が逮捕されています。社労士は不正受給に積極的に関与しているといわれてもおかしくない職業ですし、本件では、副社長が社内で申請を主導して行った可能性がみうけられます。
4 不正受給の刑事弁護
不正受給で逮捕された場合、10日間の勾留が続く可能性が高いです。そして、さらに10日間の勾留延長などを経た後、起訴されてしまえば、正式裁判は避けられません。
そういった観点から考えますと、逮捕後、周囲の方が速やかに刑事弁護を弁護士に依頼することが良い事案です。早期段階で依頼を受けた弁護人は、一方で捕まってしまった方の身体拘束を解くための刑事弁護を行うとともに、他方では、労働局に対して受領金の早期返還を交渉します。
そしてなんとか不起訴にしてもらえないか、検事に交渉します。起訴されても、返還を進めるなどして、執行猶予判決の獲得を目指します。
5 逮捕リスクを回避するための刑事弁護
今回、不正受給の疑いがかけられている金額は、480万円です。報道では、他に関連する事案がないかも含めて捜査しているのとのことで、捜査の必要性の高い事案であったという側面はあります。しかし、不正受給は480万円の被害額でも十分逮捕される犯罪類型というのもまた事実です。労働局は、立入検査、取引先調査などを通じて、今後広範な調査をすることが予想されます。
突然の逮捕がご不安という方には、弁護人を付けたうえでの自首(自首同行)をお勧め致します。
労働局に不正受給した金員を返還する交渉をする一方で、弁護人が作成した報告書を携えてしっかりと自首を届けることで、逮捕のリスクをできる限り抑えることが出来ます。
また、不正受給の返還請求を受けると、遅延損害金などの金員を割り増して払わなければいけなくなってきます。自ら返還を申し出て、弁護士に交渉してもらうことで、将来的な請求額の増大を抑えられる可能性もあります。
昨今の報道にご不安を感じられた方は、まずは弊所までご相談下さい。
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