「特殊詐欺連合捜査班」が初の検挙!弁護士が特殊詐欺の今後の展開について解説します。
1 連合捜査班による初検挙
医療費の還付金が受け取れるとうそをつき、70代女性に約50万円を振り込ませ盗んだとして、2024年4月23日、電子計算機使用詐欺と窃盗の疑いで男性を逮捕しました。これは、4月1日に発足したばかりの「特殊詐欺連合捜査班」の初検挙事例になります。
この記事では、特殊詐欺に詳しい弁護士の杉浦智彦が、特殊詐欺連合捜査班の解説と、今後の特殊詐欺の捜査について解説をします。
2 特殊詐欺連合捜査班とは
特殊詐欺は、誰かが電話をして、現地にいる人にお金・キャッシュカードを取りに行ってもらったり、振り込ませたりする犯罪です。電話をして騙す主犯格の人は、事件現場とは離れた場所(とくに首都圏をはじめとした大都市)にいることが多く、また被害も全国に広がっているため、捜査範囲が広域にわたるという問題がありました。
その捜査を効率的に行う上で、全国警察が一体となり、電話をかけたり指示したりするような主犯格の容疑者の検挙や犯行拠点の摘発につなげるため、2024年4月1日、他府県からの以来を受けて管轄区域内の捜査を行う「特殊詐欺連合捜査班」(略称「TAIT」)が各都道府県警察に構築されることとなりました。
報道レベルの情報ですが、東京や大阪など大都市圏の7都府県には計約500人の専従部隊が設置(うち警視庁は約200人が設置)されているとのことです。
3 今後の捜査について
これまでも、いわば末端のお金を受け取る立場の「受け子」「出し子」と呼ばれる人については、現場の警察官が検挙できていました。
しかしながら、これまで特殊詐欺を専門に取り扱う部署がなく、全国での情報共有手段もなかったことから、「余罪」と呼ばれる、検挙された事例とは別の特殊詐欺の疑いについて捜査しきれないということも多かったところです。そのような案件について、今後検挙される事例が増加するのではないかと思われます。
また、受け子などが主犯格と連絡をする際には、「シグナル」や「テレグラム」といった、情報抹消されるようなメッセージアプリが利用されており、主犯格の検挙をするための情報・ノウハウが不足しがちなところがありました。今後は、ノウハウ等の集積がされるでしょうから、より主犯格に近い人の検挙がされていくことが予想されます。
主犯格に近い人も、末端で受け子等をしている人も、いずれも捜査される可能性が高まったということがいえるでしょう。
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