IP電話番号、詐欺グループに提供した番号再販業者が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
インターネットを利用したIP電話の番号を特殊詐欺グループに譲渡したとして、番号再販業者「アシストライズ」(東京都千代田区)の実質的経営者の男性ら男女9人を電子計算機使用詐欺の幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕されました。
警察によると、同社は大手通信事業者から仕入れた約2千の番号を詐欺グループに有償で提供していました。販売した番号は還付金や架空請求詐欺などに使われ、被害は沖縄をのぞく全国46都道府県で計数十億円にのぼるとみられます。同社は詐欺グループから前払い金や口止め料としてそれぞれ数百万円を、さらに通常の通話料の数倍を徴収していたとのことで、摘発を逃れるため、ダミー会社を経由してサービスを続けていたとみられます。
本件報道の法律問題について解説します。
2 ほう助とはどういう犯罪か?
今回の事案では、詐欺に使われる電話番号を、詐欺グループに販売した行為が、詐欺のほう助と認定されました。
ほう助というのは、犯罪者が罪を犯すことを助けることを言います。たとえば、暴力をふるっている人に声援を送るようなことでも、「暴行の犯人を心理的に助けた」ということで、ほう助罪が成立することもあります。
もちろん、知らないでいて、結果的に助けてしまったような場合には、ほう助は成立しません。包丁で人を殺した犯人に、包丁を販売したお店が、殺人罪の幇助犯とはならないのは当然と言えます。まさか、販売した包丁が犯罪に使われるとは知らないからです。ただ、本当に知らなかったのか否かは、厳しく問われることになります。
3 電話番号の販売の場合は?
電話番号や、メールアドレスを購入して、販売活動に使っている企業は相当数あります。それ自体は必ずしも違法とは言えないです。質の高い番号などはかなり高値で取引されています。「こういう番語などを購入した企業が、まさかそれで犯罪を行っていたなどということは分からなかった」という説明は、販売した側の企業からは当然行われます。
この辺のところは、相手側企業についての最低限の調査をしているのかという点や、販売価格が不自然に高額ということはないかという点など総合的に見て、犯罪使用の事実を知っていたのかを判断することになります。
本件のように、「口止め料」と思われる金銭の授受があるような場合は、犯罪行為を認識していたと考えるのが自然です。
4 本件の弁護活動
非常にたくさんの被害者がいる犯罪です。ほう助犯と言えども重い責任が問われます。できる限りの賠償を行うのがまずは一番の弁護活動といえます。
また、会社内部の社員などでは、本当に事情を知らないものもいる可能性があります。
そのような人に対しては、犯罪の成立を争っていくこともあり得えます。
5 詐欺事件に関連した方は、すぐにご相談ください
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