持続化給付金の不正受給でお悩みの方に~持続化給付金詐欺の刑事弁護を解説
1 事件の概要
6月初旬ころ、東京国税局の職員が逮捕されるなどで、持続化給付金詐欺がニュースになりました。組織的な持続化給付金詐欺が捜査される中、グループの首謀者だけでなく、事件の関係者が次々と逮捕されたという報道もありました。
そんな中、弊所にも、「不正受給をしてしまったかもしれない」「どうなってしまうのか」というご相談をされる方が増えています。
今回は、持続化給付金詐欺になるとどのような捜査に受けるのか、どのような弁護活動をすべきなのかと言った点について解説します。
2 持続化給付金の受給はなぜ詐欺罪になる?
そもそも、持続化給付金を受け取ることが、なぜ詐欺罪になってしまうかを解説します。
持続化給付金を受けるためには、「事業を営んでいる」「その事業のある月の売り上げが、前年比で半分を下回る」「売り上げ減少の理由がコロナウイルスによる」などの要件が必要です。
事業を営んでいない人や、売り上げが半分になっていない人が、虚偽の確定申告書類や台帳を作成し、要件を満たしていないことを分かっていて持続化給付金を申請すれば、それは、詐欺罪で処罰するに十分な嘘をついたことになってしまうのです。
3 持続化給付金を受けとっただけで逮捕される?
ニュースで逮捕されている被疑者を見ると、不正受給のリーダー格だったり、申請自体を行った組織犯罪の中核メンバーだったりすることが多いです。
その一方で、多くの若者が、名義だけを他人に貸して、その他人に申請してもらい、給付金の一部を受け取るという、末端の役割を担っているということも報道されています。
こうした事例では、知人に「うまい話がある」ということを言われ、申請するだけでお金が手に入るのだから損は無いと考えて、他人に申請を依頼してしまうというケースが多いです。確定申告書類の作成や台帳の作成なども他人に任せてしまっているので、自分が詐欺事件に巻き込まれてしまっていることに気づかないでいる人もいるでしょう。
こういった方々にも、詐欺罪は成立し、逮捕される可能性があるのでしょうか。
結論を言えば、ただ末端で名義を貸してお金の一部を受けとっただけの方でも、詐欺罪が成立してしまう可能性が高いです。名義を貸すだけとはいえ、名義人の協力がなければ詐欺を実行できませんし、利益も受けていますから、犯罪を行うための重要な役割を果たしたといえてしまうのです。
また、そうした協力の事実があれば、「事業の実態が無いのに、嘘を付くと分かっていて持続化給付金詐欺に加担した」と認められてしまう可能性が高いということも理由の一つです。
ですので、お金を受け取っただけの方々でも、逮捕される可能性はあります。もちろん、逮捕の可能性は、主犯格の方々ほど多いわけではありませんが、自分の申請名義で100万円が不正に国から流失したことを考えれば、被害の大きい重大事件であるとご理解頂けると思います。
逮捕とまでいかなかった場合であっても、事件をほうっておけば、いずれ捜査が自分のところまで行き届き、突然家に警察官が来て、知人との通話履歴や申請書類を捜査するために、家宅捜索をしてくる可能性もあるでしょう。
4 持続化給付金の不正受給はどのような処分を受ける?
詐欺罪は、10年以下の懲役に処すと刑法にはあります(刑法246条1項)。
詐欺罪は、罰金刑が定められていませんので、裁判を簡単な手続にして罰金で処理するという扱いにすることが出来ません(略式起訴といいます)。
ですので、起訴されてしまうと、正式な裁判手続きになり、公開法廷の中で、自分がした罪を審理されることになります。
詐欺罪は、被害額が刑の大きさを決めるうえで重要なポイントになります。
100万円や200万円という金額は、国への給付金返還をしなければ、実刑になる可能性もある金額です。
5 持続化給付金不正受給をしてしまった時の弁護活動
持続化給付金の不正受給が、突然逮捕や家宅捜査をされる可能性のある行為であること、処分も軽く無いことは、これまで見てきたとおりです。
そこで、逮捕や家宅捜査のリスクを減らし、処分も軽減するために、何かできることは無いでしょうか。
以下では、軽減の効果を期待できる弁護活動を紹介します。
まず、逮捕や突然の家宅捜査のリスクを回避するためには、弁護人を付けたうえで、自首を行うことが効果的です。
逮捕は、証拠を隠滅する恐れや、逃亡するおそれのあるときに行われるものですから、反省を示し、持っている証拠も全て携えて自首を行えば、逮捕のリスクは激減します。
また、弁護人が付いていれば、家宅捜索についても、なるべく行わないようにしてもらうか、あらかじめ警察と日程調整してもらうか、交渉しやすくなります。
そして、処分を軽くするためには、自首も一つの手段になりますが、被害弁償をすることが重要です。
現在、国は、誤って受給した持続化給付金を中小企業庁に返還するよう求めており、返還のために、特別のコールセンターも設けています。自分の分け前が一部だったとしても、原則として、自分の名義に受給された全額の返還を求められます(場合によっては課徴金なども支払います)。
この手続きを通じて、きちんと持続化給付金を返還すれば、自首をした事件について、執行猶予を受けられる可能性が高まり、場合によっては不起訴になる場合もあるでしょう。
6 不正受給をしてしまったかもとお悩みの方はまずご相談ください
注意すべきなのは、国への返還手続を進めたからといって、始まっていた刑事捜査が止まるわけでは必ずしもないことです。いずれ捜査を受けてしまうリスクも考えて、国への返還手続を進めるだけでなく、刑事弁護の手を同時に打っていくことが重要でしょう。
給付から2年が経とうとしていますが、昨今のニュースを見て、もしかしたら自分が不正受給をしてしまったかもと心配になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
弊所では、自首同行、刑事弁護の力になるだけでなく、告発リスクを回避したうえでの国への返還手続もお手伝いしております。
ご家族だけでお悩みにならず、まずは弊所までご相談下さい。
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