ガールズバー無銭飲食で逮捕されるも無罪判決。ぼったくりバーだと無銭飲食しても大丈夫?

1 報道の概要

東京都葛飾区のガールズバーで、酒代や女性の指名料計約8万円を請求されたが支払えず、無銭飲食をしたとして詐欺罪に問われた男性の裁判がありました。

東京地裁は「店の伝票に明らかに虚偽の内容が含まれ、男性に支払う意思がなかったとは言えない」などとして、無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡したとのことです。

店では、1時間飲み放題となる基本料金が2千円で、延長や指名料が加算されるシステムで、男性の伝票には4時間延長し、女性2人を3時間半指名したなどと記載されていたとのことです。

 

2 無銭飲食の罪名

無銭飲食をすると、①最初から払う意思も能力もなく入店した場合は詐欺罪、②入店して、途中で支払えないことに気づいて、嘘をついて逃げた場合は詐欺利得罪が成立します。

しかしながら、途中で支払えないことに気づいて、何もいわずその場から逃走した場合は、「利益窃盗」と呼ばれ、犯罪が成立しないと言われています。ただ、そもそも逃げている時点で、「最初から払う気がなかっただろ」と疑われ、後日逮捕されることがほとんどです。

 

3 今回の事件の特殊性

今回の事件の特殊性は、「そもそも伝票が誤っていた」というところです。裁判官は、店の料金形態や伝票の記載内容、証人出廷に消極的だった従業員の証言などを検討し、男性が実際に飲食をしたり接客を受けたりしたのは約2時間45分にすぎなかった可能性があると判断しています。

しかしながら、これに4時間分の延長料金や3時間半分の女性スタッフ指名料が上乗せされており、実際に支払うべき金額として認められるのは2400円であったとの事情がありました。

このくらいならば支払える可能性が十分にあるだろうということ、また実際に被告は、クレジットカードなど様々な支払い方法を試したり、知人に立替えを打診していたこともあったようで、「無銭飲食しよう」という故意が否定されたという経緯があります。

 

4 ぼったくりバーでも逮捕されたり、有罪になることもある

以上のように、今回の事例は、かなり特殊な事情があります。そのため、一般論としては、ぼったくりバーだといっても、全く支払う気がないと判断されると、無銭飲食として詐欺になるでしょうし、逮捕も十分に考えられるでしょう。

もしぼったくりバーにつかまってしまったら、速やかに弁護士に相談してもらうのがよいでしょう。

 

 

 

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