特殊詐欺容疑で逮捕の男性を不起訴処分との報道!?
1 報道の概要
保安協会員や警察官になりすまし、82歳の女性からキャッシュカードをだまし取ろうとした疑いで逮捕された20歳の男性について、検察庁が不起訴としました。
不起訴の理由として検察庁は、「送致事実を認定するに足りる十分な証拠がない」としています。
本件報道の法律問題について解説いたします。
2 特殊詐欺の刑罰
オレオレ詐欺のような特殊詐欺は、非常に重く処罰されています。逮捕された場合、まず間違いなく起訴されて、原則としては実刑判決が出されます。
本件の被疑者は、まだ20歳ということで、成人となったばかりですが、それでも起訴されて裁判となれば、実刑判決が出されて、刑務所に行く可能性が高くなります。
本件のように、不起訴処分とされることは非常にまれな事案であります。
3 末端の犯行の場合
多くの犯罪の場合、末端でかかわったに過ぎないものの処罰は、比較的軽いものとなります。
例えば窃盗罪でも、単に作業を一部担当しただけのものだと、被害額などにもよりますがそれほど重い処罰がなされないことが多いです。
しかしながら、本件のような特殊詐欺の場合は、背後の主犯を捕まえる手処罰するのが難しい中、手足として活動した末端のものへの刑罰が、見せしめ的な意味も含めて、非常に重いものとなります。
その意味でも、今回不起訴処分で終わったことは、かなり特異な事例と言えます。
4 本件が不起訴となった理由
本件の不起訴理由として検察庁は、証拠が不十分であったと発表しています。一体どのような状況での犯罪の嫌疑であったのか、非常に興味があるところです。
ただ、本件の報道では、同一の被害者に対して、「保安協会員や警察官になりすまし」ていたということでありますが、これは相当不自然なことであり、同一加害者が同一被害者に、いろいろな役割を演じてコンタクトしたというのは、通常は考え難いです。
本件の場合、82歳の被害者の証言が重要な意味を有することになるが、それが明確に取れなかったことから、不起訴とせざるを得なかったのかもしれません。
5 詐欺事件を起こした方は、すぐにご相談ください
本件では、恐らく担当の弁護士が、被疑者本人の弁護活動として、黙秘権の行使や、否定すべき点の否定など、しっかりとサポートをしていたはずです。
弊所でも、振り込め詐欺などの特殊詐欺を含む、多くの詐欺事件を扱ってきました。
事件の成立を争う場合はもちろん、被害者との示談交渉、病的な犯行の場合の入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートを提供しています。
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