メルカリで580万円の車を不渡り小切手でだまし取った男を逮捕!
小切手が不渡りになったら詐欺で逮捕されるの?
1 報道の概要
報道によると、男性がメルカリにトヨタのピックアップトラックを出品していたところ、容疑者は「はじめまして! 購入を検討しております!」と男性にコンタクトし、その小切手が不渡りで決済できないことを隠して、購入手続きを進めていたとのことです。
容疑者は、「人から頼まれた」などと、容疑を一部否認しているとのことです。
詳細な情報は分からないところもありますが、弁護士が、考えられる事態や、どのような場合に詐欺で立件されるかの解説をいたします。
※なお、メルカリは、そこで用意された決済方法以外の方法を促すこと、また応じることを禁止しています。
参考ウェブサイト:https://www.mercari.com/jp/help_center/article/855/
違反事例の例として、銀行口座への直接振り込みなどもありますが、当然、小切手決済も、メルカリが用意した決済方法ではないため、禁止されています。
本件も、メルカリの禁止行為であることを前提にして話を進めます。
2 「不渡り小切手」とは?
この事例では、不渡り小切手が使われたとのことです。
「不渡り」とは、小切手や手形に書かれた「支払期日」(銀行で記載の金額に換金できる日)に銀行に持っていったが換金できないことをいいます。
小切手や手形は、そこに書かれている「振出人」の当座預金をつかって換金されます。しかしその当座預金の残高がなかったり、すでに倒産して銀行の取引が止まっている場合は、換金できないため、「不渡り」となるのです。
3 振出人=購入者の場合だと当座預金の残高がないことで逮捕される事例は少ない
今回の事例で、容疑者の男性が小切手を作成したことは考えにくいといえます。なぜならば、振出人の当座預金にお金が入っていないとしても、「後でお金を入れる予定だったが、お金を用意できなかった。」という言い分が通ってしまい、(民事の責任は別にして)詐欺の故意を立証できない可能性が高いからです。
もし、あなた自身が小切手を発行しており、資金難の状態になって小切手を使おうとしても、よほど繰り返して決済しようとしたり、高額の使用をした場合を除けば、詐欺で立件されることは少ないといえます(当然、好ましいことではありませんが・・・)。
この手の不渡り小切手で逮捕される事例は、ほとんどが倒産したりして支払いされないことが確実な小切手を使う場合です。
過去、類似のインターネットオークション詐欺の手法の一つで、高級車を落札し、代金を、倒産した大阪府にある会社の不渡りの小切手を使用して支払ったという事例で逮捕されたというものがあります。
4 小切手の流通自体減っている。詐欺の可能性を見落とさないで
なお、被害を受ける側のアドバイスになりますが、見ず知らずの人との取引で小切手を用いるのは避けたほうがよいことが多いといえます。
最近は、手形や小切手の発行手数料はかなり高くなっています。そのため、手形や小切手の流通量は間違いなく激減するといわれています。
その状況下で手形・小切手決済を求められるという事自体、やや異常な状況ではないかと思われます(一部、建設業などでは手形決済も残っていますが、ビジネスで使うことくらいしか活用場面はないところです。)。
メルカリでは高額決済を避けたり、クレジットカードを使うなどするのが望ましいのではないかと思われます。
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