絵や文字のような模様が落書きされた自然の岩が見つかったとの報道!?
どのような罪になるのか?
1 事件の概要
緑豊かな清流として知られる秋川渓谷(東京都あきる野市など)で、絵や文字のような模様が落書きされた自然の岩が見つかりました。少なくとも4か所に落書きが確認されており、管理する都西多摩建設事務所は対応を検討しているとのことです。
同事務所は「秋川では魚の放流も行われており、環境に悪影響を及ぼすので塗料を落とす薬品は使えない。慎重に対応を考えたい」としております。
2 本件で成立する犯罪について
本件は岩という「物」への落書き行為ですが、落書きにより景観を害するなど岩の本来の効用を失わせていますので、法的には破壊をしていなくても、「損壊行為」に該当します。よって本件は器物損壊罪の対象になります。
器物損壊罪は「3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料」です。比較的軽微な犯罪といえますので、初犯であれば罰金になる可能性が高いですが、「物」の被害金額や余罪などの常習性や犯行態様の悪質性によって正式な裁判となる可能性も十分にあります。
また、器物損壊罪は親告罪といって、物の所有者や占有者が「告訴」をすることが起訴するための要件となります。告訴とは被害の申告に加え、処罰を求める訴えのことです。
今回の「物」は岩ですが、管理していた都西多摩建設津事務所が親告罪の告訴権者になると考えられます。
3 弊所の弁護方針について
前述のとおり、器物損壊罪に関しては、初犯であれば罰金刑で終わることがほとんどです。
ただし、「物」の被害金額が高額である、余罪が多数ある、犯行態様が悪質である等の事情がある場合には、正式な裁判を受け、最悪実刑となる可能性もあります。
これらを避け、不起訴や執行猶予を得るためには、被害者に対し、示談の申込みをして示談を成立させることが重要となります。器物損壊罪は親告罪ですので、被害者の告訴がないと起訴はできません。
もっとも、示談に応じていただけないこともありますので、金銭的な解決以外で被害回復に努める方法としては、損壊した「物」の修復や代替物の購入なども考えられます。その他の手段としては、もし捜査機関に発覚していない場合は、自首をお勧めいたします。また、示談や「物」の修復などができない場合は、法テラスなどの機関にしょく罪寄付をすることにも考えられます。
もしご自身やご家族が器物損壊罪の事件にかかわってしまった場合は、当事務所までご相談ください。
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