玄関ドアのポスト口から消火器を噴射される事件が発生!
1 報道の概要
先日、次のような事件が、民放のニュース番組で報道されていました。
アパートの玄関ドアについているポスト口から消火器を噴射され、部屋中が消火剤で覆われてしまったとして、借主が被害届を出したという事件です。
ニュース番組では、ポストに消火器が差し込まれている様子や、玄関だけでなく部屋中の床が白くなっている映像を紹介していました。
借主は、この部屋を退去するところで、家にはもう家財は残っていなかったようですが、住人が退去を決断した理由の一つが、アパートに続けられていた一連の迷惑行為にあったそうです。
過去にも、ドアの鍵穴につまようじが刺さっていたり、別の階の壁に、マヨネーズのような液体が撒かれていたらしいのです。
今回は、これらのアパートに対する迷惑行為を題材に、器物損壊事件の弁護活動を解説します。
2 アパートの迷惑行為に対してどのような犯罪が成立するか?
今回のような事件では、器物損壊罪や、それよりも重い建造物等損壊罪が成立する可能性があります。
一般的な感覚では「物を壊した」とは言えない場合でも、これらの犯罪は成立します。物の機能や外観を汚損し、原状回復を難しくするだけで、犯罪になってしまうのです。
例えば、今回のように消火剤を家に撒きますと、人が住めない状態になってしまいます。
原状回復するのは大変ですし、器物損壊罪や建造物等損壊罪が成立すると考えられます。アパートの壁にマヨネーズをかける行為も、壁の外観などを害していますから、程度によれば器物損壊が成立します。つまようじを鍵穴に入れる行為は、鍵穴を詰まらせてしまえば、やはり器物損壊罪になるでしょう。
今回は、借主が被害届を出してはいますが、理屈で考えれば、今回の被害者は家の所有者である大家さんでしょう。ですから、仮に報道の行為を大家さん自身がすると、自分の財産に対する行為なので、器物損壊罪は成立しません。
3 どのような処罰が考えられるか?
器物損壊罪は、3年以下の懲役または三十万円以下の罰金になる可能性があります。
罪の重さは、被害品の価格や、修復に掛かる金額、動機などで決まってきます。もし、今回のように、家の中に消火器を撒くとどうなるでしょうか。
今回は、家財が無かったため被害はほぼ家に対してだけ生じていますので、修復費用などをベースに考えれば、罰金の可能性が高いですが、同種前科などがあれば、一度で懲役を求められることもあり得ます。
また、普通家の中には家財がありますから、消火器をまけば、家の持ち主だけでなく家財の持ち主に対しても器物損壊罪が成立するのが通常です。その場合、複数の器物損壊罪が積み重なるので、当然処分は重くなります。
4 器物損壊事件における弁護活動
依頼者の方が器物損壊を認めているのであれば、器物損壊事件の弁護活動で一番重要になって来るのは、やはり示談であります。
今回の事件であれば、家を原状回復した当事者に対して、弁償金を支払います。
また、被害者は家を所有する大家さんでありますから、さらに謝罪金を、借主ではなく大家に払う流れになると考えられます。
誰に対してお支払いするかは、担当検察官が事件をどう見るかで変わって来ることもありますので、弁護人による交渉やコンタクトが不可欠となります。
5 他人の物を汚損してしまった方はまず、弊所にご相談下さい
弊所では、現行犯ではない場合でも、他人の物を汚損したことが後に問題になった事件を多く扱ってきました。
器物損壊罪とはいえ、今回の事件のレベルであれば、逮捕がされる可能性も十分あります。
落書き、ビラ貼り、物を隠したり破棄したりすることも、器物損壊になり得ます。
ついいたずら心でやってしまい、悩まれている方などもいらっしゃると思います。
まずは、弊所にご相談下さい。
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