酔っ払いが焼き肉店の看板を破壊し立ち去ったとして、器物損壊容疑で捜査との報道!?
1 酔っ払った人が焼き肉店に倒れこみ看板を破壊
先日、飲食店街のカメラが、酔っ払いの迷惑行為をとらえていたというニュースが、映像付きで報道されました。映像には、深夜の飲食店街を、フラフラとした足取りで歩く若者3人が映し出されています。そして、1人がもう1人を抱擁していたかと思うと、2人の身体が焼き肉店の壁に近づき、そのまま一緒に店の壁際に勢いよく倒れ込みました。焼き肉店では、メニューを記載したガラスの看板が割れていたとのことで、警察は店から被害届の提出を受け、器物損壊事件として捜査しているそうです。
今回は、この事件を題材にしながら、器物損壊事件の弁護活動を解説します。
2 過失の器物損壊罪は存在しない
器物損壊罪には過失を処罰するという法律がありません。わざとであったり、物が壊れるかもしれないのにあえて力を入れて物を壊したりした場合は器物損壊罪になり得ますが、うっかり壊してしまったような場合には、器物損壊罪は成立しないということです。
3 今回の事件で器物損壊罪は成立するか?
今回の事件で器物損壊罪が成立するかどうかは、報道の映像だけでははっきりとはわかりません。映像を見ると、二人の若者が、まっすぐ歩くのも困難なほど酔っぱらってしまい、不意にバランスを崩してしまって倒れこんだように見えます。
しかし、二人の倒れこむ勢いが強いところを見ると、どちらか一人がわざと力を加えて、看板目掛けて体を倒したようにも見えます。
警察としても、器物損壊罪が成立しない可能性も視野に入れたうえで、なお被害届を受理し、事件の解明のため捜査をしていると予測できます。
4 器物損壊事件の弁護活動
今回のような事件では、突然本人が逮捕されるという可能性は、高くないでしょう。
しかしながら、器物損壊事件であっても、そのうち自分がしたことと分かってしまうのだから、いっそのこと自首をするという選択肢はあり得るところです。自首をすることで、逮捕の可能性がさらに減るとともに、処分が軽くなるという効果が期待できます。その際、弁護人に自首同行を依頼することは、一つの手でしょう。
被害者が分かっている、あるいは見つかった段階では、大きく分けて二つの弁護の仕方があります。
わざと物を壊してしまったという場合には、器物損壊罪が成立する刑事事件であることを前提に、被害者との示談交渉を成功させることで、不起訴処分などを目指していく形になります。
うっかり物を壊してしまったということであれば、器物損壊罪が成立しないことを前提に、損害賠償の民事事件として、弁護士が弁護活動をすることになります。同じ物が壊れた事件であれば、示談の金額の方が、民事事件で支払う金額よりも高くなるのが一般的でしょう。
5 誰かの物を壊してしまって悩んでいる方は、ぜひご相談下さい
このように、一言で他人の物を壊してしまったと言っても、器物損壊罪が成立するケースとそうでないケースがあり、法律の判断が必要になってきます。また、自首するメリットや、事件解決の方法も事案によって異なってきます。
弊所は、器物損壊に関わらず、物質的な損害に関わるあらゆる事件を取り扱っております。
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