大学生の男が強制わいせつ容疑で再逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
埼玉県さいたま市において、私立大学生の男性(21歳)が、昨年の深夜、北区内の路上で、歩いて帰宅中の20代女性の背後から抱き付き、体を触るなどしたとして、強制わいせつ致傷罪の疑いで再逮捕されたとのことです。女性は転倒し、右手に全治約1週間の擦り傷を負ったとのことです。男性は、最近、別の20代女性に対する強制わいせつ容疑で約1か月前に逮捕され、余罪を調べられていたところ、昨年の事件が発覚したそうです。
今回は、この事件を題材に、強制わいせつ罪の論点や弁護活動を解説します。
2 後ろから抱き付くことが、強制わいせつ致傷罪になる?
いわゆる痴漢行為が、強制わいせつ罪になるのか、それとも、それよりも軽い各県の迷惑防止条例になるのか、判断が難しいことはよくあります。しかし、今回のように、深夜で、被害者の後ろから抱き付くような行為は、強制わいせつ罪にあたると検察官に判断される可能性が高いです。
また、抱き付いた行為自体であれ、逃げる際の行為であれ、それらの行為によって相手にケガをさせれば、強制わいせつ致傷罪という重い罪を理由に逮捕されることになります。今回のように、全治1週間の擦り傷であっても、傷は傷ですので、強制わいせつ致傷罪にはあたり得るのです。
3 今回の事件での「再逮捕」とは?
法律では、1つの事件につき、原則として逮捕は1回までとなっており、同じ事件の再逮捕は例外的な場合にのみ認められています。今回の報道の「再逮捕」とは、別の女性2人に対する別の事件につき、一回ずつ逮捕されたことであると思われます。
4 強制わいせつ事件に対する弁護活動
強制わいせつで逮捕された事件について、弁護人としては、身体解放に向けた活動や、示談交渉をすることで執行猶予付きの判決や不起訴処分を目指すという弁護活動をすることが考えられます。
ただし、今回のような場合ですと、事件は実質的に2つありますので、身体解放や示談が成功するハードルは高いです。
また、強制わいせつ致傷事件が起訴されてしまうと、強制わいせつ事件と違い、裁判員裁判になってしまうことに、注意が必要です。罪を認める場合の裁判員裁判では、どれくらいの刑罰を科すかということが大きな争点となり、これまでの刑の相場を踏まえた上で、裁判員が事件の刑について議論することになります。そのような中で、執行猶予付きの判決を得ることは、より一層のハードルがあります。
それゆえ、強制わいせつ致傷事件については、たとえまだ逮捕されていないのだとしても、自首をした上で、スピーディーに被害者と示談交渉をして不起訴を目指すという選択肢も、大いにあり得るところです。
5 痴漢行為などを起こしてしまった方はご相談下さい
弊所では、強制わいせつあるいは迷惑防止条例違反にあたるものまで、あらゆる態様の痴漢事件について、弁護活動に取り組んで参りました。
逮捕されていない痴漢事件を自首することは、逮捕のリスクを下げ、情状面でも有利に判断されるだけでなく、被害者を見つけて示談交渉をする布石を打つことにもつながります。
痴漢事件も具体的な事案によって見立てが異なりますので、まずは弊所にご相談下さい。
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