電車内で女性の体を触ったなどとして不同意わいせつの疑いで逮捕されたとの報道!?
1.報道の概要
さいたま地検は23日、昨年の12月に電車内で女性の体を触ったなどとして不同意わいせつの疑いで逮捕された公務員の男性(63)を不起訴にしました。理由は明らかにしていないです。
男性は昨年12月、JR高崎線の浦和-赤羽駅間を走行中の車内で20代女性の体を触るなどしたとして、さいたま県警浦和署に現行犯逮捕されました。
2.痴漢行為に成立する罪
報道によれば、男性は電車内で女性の体を触ったということであるから、これはいわゆる痴漢行為と考えられます。
本件では不同意わいせつ罪で逮捕されているが、実は痴漢行為は不同意わいせつ罪と迷惑防止条例違反の二つの罪のどちらかが成立する行為です。
それでは、どのようにして成立する罪が変わるのでしょうか。
3.痴漢行為の悪質性がみられる
不同意わいせつ罪と条例違反では、不同意わいせつ罪の方が重い罪です。
そのため、重い罪である不同意わいせつ罪が成立しない場合に条例違反が成立するという関係性にあります。
不同意わいせつ罪が成立するには、痴漢行為が「わいせつな行為」に該当しなければならないが、どのような行為が「わいせつな行為」であるかは必ずしも明確な定めがあるわけではないです。
一般的な傾向としては、例えば着衣の下に手を入れる、性器等の付近に触れるといった行為については「わいせつな行為」とみなされ、一方で着衣の上から触れるだけの行為については該当しないとされることが多いです。
このように、痴漢行為がどの程度悪質であるかが、一つの判断基準となっています。
4.不同意わいせつ罪成立が増加する見通し
しかし、これらの基準はあくまでも目安であり、着衣の上からであれば不同意わいせつ罪が成立しないというわけではないです。
どのような行為が「わいせつな行為」と考えられるかは、時代や社会の変容と共に変化するものであり、事実、以前であれば条例違反として処理されたと考えられる行為が、不同意わいせつ罪として処理される事案も見られるようになってきました。
また、旧強制わいせつ罪から現不同意わいせつ罪への法改正に伴い、相手方の同意がない状況であれば、強制的でなくとも同罪が成立することとなりました。
このような改正もあり、今後は不同意わいせつ罪で処理される痴漢事件が増加することが考えられます。
5.弁護活動の重要性
不同意わいせつ罪には罰金刑が定められていないため、同罪で起訴されてしまった場合には必ず正式裁判となります。
そのため、被害者との示談交渉を前提とした不起訴に向けた弁護活動のほか、場合によっては不同意わいせつ罪ではなく条例違反が成立するはずであるとして成立する罪を争う弁護活動なども考えられます。
いずれにせよ、早期に相談の上でしっかりとした弁護活動を展開することが重要となります。
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