家出したい少女3人を誘い出していた男に有罪判決との報道
1 報道の概要
Twitterに家出願望を書き込んだ14~15歳の少女3人を誘い出し、借家に住まわせるなどしたとして、未成年者誘拐の罪に問われた男に、懲役3年、執行猶予5年の判決がなされた。判決理由で裁判官は「児童の判断能力の不十分さに付け込んだ身勝手な犯行動機で、態様も悪質」と指摘する一方、被害者1人と示談が成立していることなどから、執行猶予付き判決が相当であるとした。
以上の事件をもとに、問題になりそうな諸点を解説します。
2 児童が進んで来ているのに誘拐になるの?
本事件では、そもそも本人たちが家出することを希望しています。犯人の男は、それに答えただけともいえます。それなのに、「誘拐」という犯罪になるのかが、問題となりそうです。
ただ、未成年については、親権者に無断で連れ出すだけで「誘拐」となるのです。いくら本人の同意があっても、結論は変わりません。裁判官が判決理由で述べているように、「児童の判断能力の不十分さに付け込んだ」犯罪なので、本人の同意があっても成立するわけです。
3 性的な関係については処罰されないの?
本件のような、いわゆる「神待ち」と言われる事案では、家出希望の児童に住居を提供する代わりに、児童と性的な関係を持つことがよくあります。本件では、誘拐のみで処罰されています。児童買春などでの処罰がなかった理由は、必ずしもはっきりしません。立証するための証拠などが不十分だった可能性もあります。
その一方、性的な関係などなくて、本当に住居を提供していただけの可能性もあります。たとえそうでも、親の同意なく子供を住まわせると、未成年者誘拐罪になるのです。
4 弁護活動の内容
誘拐罪のような、被害者のいる事件の場合、まずは示談を成立させることが必要です。本件でも裁判官が、執行猶予を付けた理由として、被害者側の1名と示談が成立していることを上げています。
ただ、未成年者誘拐の場合は、示談も親権者と行う必要があります。児童本人と行うわけにはいかないのです。そして、児童の側で家出を望むような家庭の場合、親権者との話し合いや示談は、弁護士にとってもかなり大変な仕事になります。
親の方が、簡単には話し合いに応じてくれない場合も多々あるからです。
本件で、被害者が3名いるのに、示談が1件しかできていないことも、その辺の事情が影響した可能性はあります。
5 誘拐罪にあたる方行為をしてしまったという方は、すぐにご相談ください
弊所では、児童買春事件、児童福祉法違反事件、青少年保護育成条例違反事件その他、未成年者が絡む多くの事件の弁護活動を行ってまいりました。
自首の同行、被害者との示談交渉、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
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