殺人未遂で起訴されたが、傷害罪の判決を得た事件

罪名:傷害罪

解決までの期間 14か月
最終処分 殺人未遂罪→傷害罪での有罪
依頼者:本人

兄弟間の相続争い

本件は、相続争いから、被告人が兄弟をナタで殺そうとしたという殺人未遂事件です。重大事件ということで、裁判員裁判となっております。

 

殺意があったのか

殺人未遂罪が成立するためには、被告人に殺意がなければいけません。積極的に殺そうという意思があればもちろんのこと、死んでも構わないという考えがあっただけでも、殺意があったことになります。

 

被害者のけがの程度は軽かった

被告人は、ナタという凶器を兄弟に向かって振り回したことは認めています。それによって、兄弟は軽いけがをしています。この点について被告人は、当てないように気を付けてナタを振り回したのだと主張していました。

 

捜査段階では殺意を認めていた

ところが、この被告人は、警察と検察ではそれぞれ殺意を認める供述ししていたのでした。事件の翌日に警察で取った調書には、「積極的に殺そうと思った」旨がとられています。その1日あとの検察庁での調書では、「死んでも構わないと思った」旨の調書がとられているのです。これについて被告人は、「説明するのも面倒だったから、特に争わずに認めることにした」とのことでした。もともと、本件の被告人は、相続問題のことしか興味がなく、刑事事件には、無関心といってよい態度でした。

 

裁判員への丁寧な説明

当事務所では、裁判員に対して、被告人の特殊性や、警察や検察で調書が信用できないこと(積極的な殺意から、1日経過しただけで「死んでも良い」に拘置していること自体不自然であること)などを丁寧に説明していきました。最終的に、殺人未遂罪が否定され、単なる傷害罪として処分されることになり、長く大変だった裁判活動が報われたのです。

 

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