寄付によって不起訴となった事例
解決までの期間:3ヶ月
最終処分:不起訴
依頼者:両親
被害者の意向
示談交渉を行うと、被害者によっては、加害者からのお金を受領することに抵抗があったり、もらっても使い道が分からない、ということで金銭の受領を拒否されることも珍しくありません。
しかし、取調べなどで時間は取られていますし、事件後の不安感などへの手当てであるということなどを説明すると、ほとんどの場合、最後は受け取ってもらえます。
お金に色はなく、今後カウンセリングなどを受ける可能性もある以上、そのためにプールしておいてもらうこともあります。
被害者以外への支払い
この事件も、当初は、特に変わったところのない、言うなればよくある痴漢事件でした。
一点だけ、被害者の意向が特殊だったということを除いては。
いつものように示談交渉を行ったところ、被害者の意向は、反省し、更生してくれればそれで構わないが、金銭は絶対に受け取りたくないとのことだったのです。
聞けば、以前、加害者扱いされて、示談金名目で金銭を脅し取られた過去があるということでした。
被害者の意思は固く、受領は拒否されたため、それでは、寄付はどうかと申し入れましたところ、被害者は、それであればということで、具体的な寄付先も指示してくれました。
不起訴へ
被害者の指示に基づいて寄付をした上で、検察官に対して、被害者に支払うのと同様に評価すべきであることを伝え、経過についての報告書も作成しました。
結果は、不起訴でした。
この世に同じ事件はありません。事件によって被害者の意向も変わります。
そこを丁寧にケアしていくことによって、犯罪に遭うという被害から、少しでも立ち直れる機会になるのではないか、そう思って活動すべきであることを再認識した事件でした。