不起訴を勝ち取った痴漢冤罪事件
罪名:痴漢(痴漢冤罪)
解決までの期間:5か月
最終処分:不起訴
依頼者:本人
この人痴漢です!
電車の中で、痴漢扱いされたと、依頼者から相談がありました。混雑した電車で立っていたところ、自分の前で立っていた女性が、「この人痴漢です」と声を出したということでした。体をことさらにこすり付けてきたというのが、その女性の言い分です。依頼者は、逮捕こそされませんでしたが、その場に来た警察官に取調べを受けることになりました。依頼者は、一貫して痴漢行為を否認し、うちの事務所に弁護を依頼してきました。
「被害者」との示談交渉
依頼者によると、「被害者」の女性は、非常にヒステリックな人で、いくら自分が説明しても全く聞く耳を持たずに、一方的に痴漢行為だと騒ぎ立てたとのことでした。しかし、たとえ被害者がどのような人でも、痴漢冤罪事件で無罪を認めてもらうのは非常に大変です。そこで、意図的な痴漢行為はなかったとしても、相手方に不愉快な思いをさせたのだとしたら、そのことについて謝罪し、示談することを考えたらどうかということを依頼者に話しました。依頼者も納得し、痴漢自体は認めないが、不愉快にさせたことについて謝罪する方向で弁護活動を開始しました。
「被害者」の異常な行動
検察官から被害者の連絡先を聞いて、早速連絡してみました。当方が名乗って、お詫びをさせていただきたいと話したところ、いきなり「被害者」からの罵声が飛んできたのです。「謝罪ってなによ! いきなり電話してきて、電話で謝れば終わりなのかよ!」当方でいくら説明しても聞く耳を持ちません。その後も、何度か連絡したのですが、全く会話が成立しませんでした。
検察官との交渉
そこで、検察官には、被害者との交渉状況など全て報告しました。そして、弁護側としては、本件はそもそも故意の痴漢事件とは考えていないので、あくまでも争う旨、検察官に明確に伝えました。そのうえで、検察官にも、自分で被害者に会うように強く要請しました。その後も検察官と何回か話す中で、検察官の方でポロリと、「あの被害者、かなり変な人ではあるよね」と口に出したことがありました。仮に裁判となった場合、公判廷であの「被害者」を証人として呼んで、正常な証言をしてもらうことが困難だと判断したのかもしれません。
最終的に不起訴処分に
本件では、「被害者」との話し合いが不可能な中での、検察官との交渉がポイントとなりました。一方では、謝罪の上賠償金を支払う用意があることを伝えるとともに、もう一方では有罪とするなら断固として戦う旨もはっきり伝えた両面作戦が功を奏し、最終的に不起訴処分を勝ち取ることができました。