勾留までいった窃盗が1月足らずで不起訴になった事例
解決までの期間:約20日
最終処分:不起訴
依頼者:父親
万引きで勾留?
御父様から御子息の窃盗について相談がありました。
御子息が別の都道府県に遊びに行ったところ、そこで万引きをして捕まってしまったということでした。
これだけでれば、珍しくないことですし、反省をしたことを丁寧に表せれば、不起訴になるような事案です。
ただ、よく話を聞いてみると、御子息は、勾留中であるとのこと。万引きで勾留までいくのは、稀な事案なので、詳しい事情を聞き取ってみました、すると、御子息は、万引きがバレた際に、店員さんに怪我をさせて、逃亡を図ろうとしたということでした。
万引きでも、逃げようとした上で、店員さんに抵抗したならば、強盗罪になり得ますし、店員さんに怪我を負わせていたのであれば、尚更です。
更に話を聞くと、御子息は格闘技経験もあるとのことでした。
本来であれば穏当なところに落ち着く案件であるが、楽観視できない可能性もあることを御父様に伝えて、事件を受任し、早速、御子息へ接見に行きました。
身柄解放への活動
事件の依頼を受けたのが金曜日であり、その日の夜に早速、御子息に接見しました。
話を聞いてる限り、怪我をさせた店員さんは、口を切ったということであり、そこまでは重症でない様子でした。
一方、被疑者国選弁護人は、まだ、身柄解放へ向けての活動はとっていない様子でした。
そこで、私共は、御子息に手続を説明した上、準抗告という勾留を解く手続を取ることにしました。
週明けできる限り早く、御子息の身柄を解放させるために、土曜日日曜日に準抗告の申立てをしました。恋人と同居し、定職あることから、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを丁寧に説明する書面を作成しました。
本件では、記録の確認などもあり、月曜日以降に判断がくだされるということになりましたが、月曜の朝早く、裁判官から、連絡がありました。
検察官が、月曜日中に御子息を釈放するので、私共も、準抗告の申立てを取り下げて欲しいということでした。
裁判官としても、準抗告の判断を出すのは、手間で心理的な障害もあるだろうから、このような手配になったのだと推測されます。私共にとっても、御子息が早期に解放されるので、願ってもないことでした。
そして、実際に、この日の午後には、御子息は、身柄を解放されました。
年度末だから迅速な処分
本件は、当然のことではありますが、万引きされた店の店長は、怒っており、示談はできませんでした。
その一方で、御父様が被害品を買い取り、被害弁償はすませている事案です。
身柄解放後、検察官と今後の方針について話し合ったのですが、勾留されていたにもかかわらず、上記の事項を考慮して、不起訴にする予定であるということでした。
しかも、この事案は3月中の出来事であり、警察検察ともに年度末の案件でした。このような場合、検察官としても、早期に不起訴にするということがあり得ました。
実際にも、年度末の3月31日その日に、御子息の不起訴が決まりました。