尿検査で反応が出たが不起訴になった覚せい剤使用事例
罪名:覚せい剤取締法違反
結果:不起訴
1.検察があきらかに起訴を考えている状況での否認
薬物事件については、基本的に尿検査で陽性反応が出れば、ほぼ間違いなく使用で起訴されます。
本件も、典型的な覚せい剤使用事件で逮捕されたケースでした。
弁護人に選任されてすぐ、接見に行くと、どうやら色々事情があるとのことでした。
詳しく話を聞くと、生活や交友関係が非常に乱れていたのは間違いなく、泥酔して明らかに様子のおかしい女性と関係を持ったり、友人とトラブルになり、勝手に自宅のものを持っていかれるなど、何が起きてもおかしくない状態だったのは間違いないようです。
本人としては、すくなくともはっきりと覚せい剤をしようしたことはなく、どうしても認めたくないという主張でした。
私としても悩ましいところでしたが、結局長期間拘束された上に起訴される可能性が高いという厳しい見解を伝えつつも、
やはり否認したいとの意向が強く、否認事件として進めることになりました。
検察官から事情を詳しく聞いても、検察官としては明らかに起訴を前提に考えており、否認は荒唐無稽であると鼻で笑われました。
しかし、勾留期間が長くなっても、かたくなに認めないことから、捜査機関は新たに医師の意見書も作成するとともに、連日厳しい取調べが続きました。
2.貶められた可能性が浮上
終盤になっても、検察官としては起訴を前提に動いていたようですが、同時期、勝手に自宅に侵入したという友人が、全くの別件の覚せい剤の使用で逮捕されたことが分かりました。
話を聞くと、その友人はかなり恨みを持っていたことが明らかになり、貶めようと覚せい剤を注射した可能性が出てきました。
3.検察との粘り強い交渉
満期直前でしたが、検察官と最後の交渉を行い、結果として、処分保留で釈放、最終的に不起訴となりました。
かなり厳しいと思われる否認事件でも、最後まで弁護活動を行えば、結果が付いてくることもあるというよい事例になりました。