令和6年の改正法施行で大麻の取り締まりはどう変わる?弁護士が解説

令和5年12月13日、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案が公布されました。刑罰法規を含む改正が、公布から1年以内に施行され、効力を持ち始めます。
今回は、改正法で、大麻の取り締まりがどのように変わるか、弁護士が解説します。

 

1 従前の大麻取締法

大麻の刑事法規は、主に大麻取締法に定められ、規制がされていました。現行法では、大麻の所持や譲渡は処罰対象でしたが、大麻を使用することについては明文で禁止されていませんでした。

現行の大麻取締法では、精神活性作用の強いTHC含量の多い葉や花の部分を規制している反面、含量がわずかな成熟した茎や種子については刑事罰の対象としていません(部位規制ともいいます)。

そこで、大麻の使用に対して刑罰を科そうとしても、規制されていない大麻の部分を摂取してTHCを取り込んだ可能性なども出てくるため、違法な使用とそうでない使用を明確に区別することができないため、「使用」に対しては刑事罰を科していなかったのです(ただし以下述べるように、医薬品で使用することは禁止されていました)。

 

2 今回の改正の趣旨

しかしながら、このような法規では、大麻をみだりに使用することを防げないどころか助長する側面があるのではないかという指摘はありました。

その一方で、国際的にみると、大麻のTHC成分を医療品として利用したり、CBDについては一定の規制のもとに飲料や食品などとして流通したりしており、現行法では大麻成分由来の医薬品を一切利用できなかった日本の法律は、国際情勢に適応していないだけでなく、産業低迷の原因にもなっているとの指摘もありました。

そこで今回の改正では、医薬品として利用する道を開く一方で、刑罰法規も見直しを行いました。

 

3 具体的な改正の特徴

改正の要点をあえて一言で表現すると「従来の部位規制を再編成して、THCの含量に着目をした規制にシフトした」と言えます。

具体的には、①大麻取締法で医療用の利用を一律禁止していた第4条が削除され、②大麻取締法の「大麻」の定義が変更され、大麻取締法は、主に大麻草を栽培する規制法に変化します(法律の名前も、「大麻草の栽培の規制に関する法律」に変わります)。

そのうえで、③これまでの大麻の所持譲渡規制などは、「麻薬及び向精神薬取締」(麻向法)に移設されることになります。④改正麻向法では、新しく大麻草と一定量のTHC成分が「麻薬」の一種として定義づけられ(改正麻向法第2条1項1号、2号)、一般的な使用も含めて処罰の対象になることになりました(使用の禁止について、改正麻向法66条の2)。

 

4 刑事弁護への変化の予想

改正によって使用が禁止された大麻については、その使用につき7年以下の拘禁刑になる可能性があります。

改正麻向法が、一定のTHC含量の製品を規制する方針であることからすれば、尿検査などで一定の基準を超えるTHCが検出されれば、使用罪で検挙されるという可能性は高くなるでしょう。

令和6年5月7日時点でまだ改正法は施行されていませんが、今回の改正が、栽培許可や医療利用の緩和だけでなく、処罰範囲を広げる側面もあることをご留意ください。

なお、他の大麻成分ないし類似の成分は、その一部が薬機法で別途禁止されているので、その点にも十分注意しましょう。

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