最新のDNA鑑定で、4年前の強制わいせつ事件被疑者が逮捕との報道!?
1 報道の概要
4年前に東京・杉並区で発生した強制わいせつ事件を、警視庁が、最新のDNA鑑定技術で微量の皮膚を鑑定し、男を逮捕した。逮捕された男性は、2017年12月、杉並区内の路上で、当時10代の女性の下半身を触るなどのわいせつな行為をした疑いが持たれている。事件当時に回収された微量の皮膚と、被疑者が別の事件で逮捕された際に採取されたDNAを、警視庁が最新のDNA鑑定技術で調べたところ、一致したため、逮捕に至った。
本件について、法律上の問題点を解説します。
2 DNA鑑定で過去の犯罪発覚
今回の事案では、最新のDNA鑑定技術が使用された旨報道されています。しかし、以前からも、DNA鑑定によって、過去の犯罪における被疑者が特定されたことはありました。
当事務所で担当した事件でも、3年前の強盗事件で、現場に残された犯人の持ち物に付いたDNAを利用して、近隣の人たちからDNAの提供を受けることにより、犯人特定に至ったという事案がありました。
今回の事件では、別の事件において採取されたDNAとの符合により、被疑者の特定がなされました。性犯罪系の場合、特に再犯率が高いので、このような形でのDNAを用いた捜査は、今後さらに発達していくものと思われます。
3 性犯罪事件の余罪
性犯罪の場合は、余罪がある場合が非常に多いです。本件のように、未成年の下半身に触ったというような事件の場合、近隣では同じような時期に、同じような事件が多発しているケースが多く見られます。警察も当然同一犯による犯行を疑い、余罪についても取り調べを行います。
このような場合弁護士としては、「嘘をつくのはダメだが、余罪について積極的に認めて話す必要は無い。」とアドバイスします。これまでは、十分な証拠がないということで、余罪については疑わしいと思われても、立件まではいかないケースが多かったです。しかし、DNAの技術が進むと、余罪についての証拠も確保しやすくなり、そちらも立件されるケースが増えていくものと思われます。
4 本件の弁護活動
DNAの鑑定結果が出た以上、簡単には覆すことができません。ただ、新しいDMAの鑑定ということだと、技術的な正確さも問題となるので、本人が犯行を認めていない場合には、それ自体を争う必要もあります。
本人の犯行であることを前提にすれば、被害者との示談を進めていくことが、本件での一番の弁護活動となりますが、その他にも今後の更生のための治療や家族による監督なども行う必要が出て来ます。
5 強制わいせつ罪で捜査されている方
強制わいせつ罪の場合、起訴された後に争う手段はかなり限られてしまいます。従って、弁護士としても、起訴前の段階でできる限りの弁護をする必要があります。
無罪だということなら、この段階でできる限り争う必要があります。また、犯行を認める場合でも、示談交渉、治療・入院措置、検察官との交渉など、不起訴処分とするための多くの弁護活動が必要となってきます。
出来るだけ早く、経験豊富な弁護士に相談されることをお勧めします。
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