示談できなくても、不起訴になった盗撮事案

罪名:迷惑防止条例違反(盗撮)

解決までの期間:約5ヶ月

最終処分:不起訴

 

長引いた警察段階

弊所では盗撮の事案もよく承っております。 本件も、被害者にぜひ謝罪をして償いたいとしいうことで受任した事案でした。

ただ、本件はいくつかのハードルがありました。 最初のハードルは、思ったより送検されるまでの期間が長かったということでした。

警察が忙しかったのか、もっと重い殺人とかを多く取り扱っていたのか、警察の動きがどうにも鈍かったのです。

こちらの話をよく聞いてない節もあり、正直焦りましたが、粘り強く警察と話をして、どうにか送検されることになりました。

 

示談を望まない被害者

さて、事件が検察に送られて、被害者と連絡できることになりました。 被害者と一度電話で話した際には、あまり怒っていないようでした。 親御さんとも相談して決めたいということもおっしゃってました。

しかし、2度目以降電話をしても、あまり繋がりませんでした。 被害者の方が社会人ですと、仕事が忙しいので中々電話がつながらないということも珍しくありません。

気を長くしてしばらく待っていると、被害者、そしてそのお父さまとお話ができるようになりました。 被害者の男親としては、被害者の情報が依頼者に伝わっていないかを心配しておりましたが、 そのようなことはないと丁寧に説明してきました。

 

被害者様もお父さまも、当方の話に納得と安心をしていただきました。 しかし、本件について早く終わらせたいということで、示談もしない代わりに賠償もしなくてもよいということになりました。

無論、刑事弁護としては、被害者様と示談することが重要ですし、大きな役割の一つです。 しかし、そのせいで、被害者様を更に傷つけることがあってはなりません。 依頼者とも相談して、被害者様がそのようにおっしゃっているにもかかわらず、無理に示談をする必要はない、すべきではないということにしました。

 

検察官への説得

さて、問題は示談できないことで、刑罰が課されて前科がつくことになるかです。

検察官としても、示談ができてない一方、依頼者は反省しており、また被害者様もお怒りではないということで悩んでおりました。

当方としては、被害者様や親御さんとの交渉経緯についてはメールやメモに残していたので、検察官に対し、丁寧な報告書を作成し提出しました。 また、検察官に対し、「本件は被害者様のご意思にそって、あえて示談しなかった」ということを丁重に説明し、説得しました。

最終的には、検察官の方でも、被害者の意思を確認した上で処分を決めるということになりました。結果、検察官の方でも、被害者様はお怒りでなく、早く平穏な生活に戻りたいということで示談しなかったということが確認取れました。そこで、不起訴で終わったのです。

 

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