二度の逆転で不起訴になった、児童買春事件
事件:青少年保護育成条例違反
解決までの期間:2ヶ月
最終処分:不起訴
余罪は何件?
「息子が、女子高生と買春して、今朝逮捕されてしまいました・・・。」
顔面蒼白の父親から、朝一で電話を受けて、早速その日の午前中に、打ち合わせに来てもらいました。父親の話では、警察からは、「今から逮捕して、この後勾留になるので、20日と少し身柄が拘束される。」と説明があったそうです。
父親から正式に弁護の依頼を受けて、本人の接見に向かう中で、私はある不安を抱えていました。というのは、この種の事件は、余罪が沢山あり、再逮捕・再勾留が繰り返されることで、身柄拘束がさらに長引くことが、よくあるからです。現時点で本人の職場に事件は発覚していませんでしたが、身柄拘束が続けば、事件を隠し切るのは難しいでしょう。
逮捕・勾留は既定路線!?
本人と接見したところ、今回逮捕されたのは一件だけで、他に買春をしたことはなく、警察からも余罪は疑われていない、とのことでした。そして、警察からも、逮捕・勾留で20日と少し身柄が拘束されるよ、と説明を受けているとのことでした。当事務所の経験上、買春一件だけなら、勾留さない場合もあります。そこで早速、親御さんに監督文を用意してもらうと共に、これ以上身柄拘束が続いた場合の仕事上の不都合などを報告書にまとめて、逮捕翌日に検事と面会をしました。
そして、交渉の末、勾留請求をしない(逮捕だけで終わらせる)ことで、了承してもらい、その日の内に釈放してもらいました。
一回目の、逆転でした。
処分は既定路線?
身柄解放の後は、不起訴処分を目指して弁護活動を行います。早速検事に対して、示談のために被害者との連絡の取り次ぎをお願いするも、「買春事件では、示談ができても処分はしますよ、まぁ起訴ではなく罰金で終わることが確実にはなりますが。」とつれない返事。ですが、当事務所の経験上、示談によって不起訴にしてもらった買春事件が何件もあったので、諦めずに示談交渉を行い、被害児童の保護者と示談を成立させました。
二回目の逆転
示談成立を検事に報告し、不起訴処分を強く要請しました。しかし検事は、「起訴にはしないが、罰金処分にはする、罰金処分の手続きのために、本人を検察庁に呼び出す」とのことでした。やはりダメだったかと肩を落とし、呼び出しの日を迎えました。
すると、その日の翌日、突然検事から電話がかかってきました。「あと少し、示談金の額を上積みするなら、不起訴にできる」という、驚くべき内容でした。どうやら、検察庁内部でも、本件を不起訴にすべきかどうか、かなり議論があり、土壇場で、不起訴の方向に傾いたようでした。
そこで早速、被害児童の保護者に連絡を取り、事情を説明して、追加の示談金をお支払いしました。その結果、本件は不起訴処分で終わりました。