ギリギリで実刑を回避して執行猶予になった、強制わいせつ事件
解決までの期間:2ヶ月
最終処分:執行猶予
依頼者:父親
重大な強制わいせつ事件
その事件は、夜道を帰宅途中の女性を付け狙い、家に入る直前に襲いかかるという、重大な事件でした。ここ最近、急激に性犯罪の厳罰化が進んでいます。被害者と示談が出来なかったり、お詫びのお金も受け取ってもらえないと、いきなり実刑判決になってもおかしくありません。逮捕されたご本人のお父様から依頼を受けた時点で、全力で弁護活動をしなければ大変なことになる、と気を引き締めました。
難航する示談交渉
早速、検事と面談をして、弁護人がお詫びをしたいので連絡を取らせてもらえないか、被害者に意思確認をするよう要請しました。その際に、検事に対しては、既にご本人やご家族には謝罪文を作成してもらっていること、被害弁償金も用意していること、ご本人が事件現場に近づかないことを誓約していることなど、少しでも被害者に誠意が伝わるように、当方の取り組みをきちんと伝えました。当方の誠意を理解した検事は、直ちに被害者に意思確認をすることを、約束してくれました。しかし、検事が被害者に連絡を取ったところ、被害者の処罰感情は非常に厳しく、弁護人から連絡を取ることさえも、拒否されてしまいました。その後、もう一度検事から連絡を取ってもらいましたが、結局被害者の意志は変わらなかったため、検事は、その事件を起訴しました。
起訴後も粘り強く交渉
しかし、当方は、起訴されても諦めませんでした。起訴後、裁判までは、1ヶ月ほど期間があります。そこで、裁判の直前、つまり最後に断られてから1ヶ月弱経った時点で、再度検事を通じて、被害者に意思確認をしてもらいました。その際に、検事に対しては、当方は示談までは望んではいないこと、お詫びのお金だけでも受け取っていただきたいので、振込先の口座さえ教えていただきたいということを、被害者に伝えるよう要請しました。というのは、これまでの経験上、この事件の内容であれは、示談までできなくても、お詫びのお金さえ受け取ってもらえれば、執行猶予判決になる可能性が高いこと、そして、前回の連絡から1ヶ月弱が経っているので、被害者の処罰感情も落ち着いていることが、予想されたからです。そして、検事が被害者に連絡を取ると、被害者も、お詫びのお金だけ受け取るのであれば構わない、ということで、振込先の口座を教えてくれました。
ギリギリの執行猶予
当方は、裁判で、被害者にお詫びのお金をお支払いしていること、ご本人や家族が深く反省していること、今後ご本人は実家に帰り、ご家族の監督を受けることなどから、本件は執行猶予が妥当であると、主張をしました。その結果、裁判所は、執行猶予の判決を下しました。その判決の中で、裁判官は、被害者にお詫びのお金が支払われたことを重視して、何とか執行猶予で終わらせたということを、明らかにしました。まさに、ギリギリの執行猶予でした。
お父様からの言葉
判決の後、お父様から頂いた言葉は、今でも胸に残っています。「執行猶予判決で本当に良かったです。でも、実は昨晩、家族と、「もし実刑判決になっても、納得できるよね。」と話していたんです。藤井先生に、ここまでやっていただけたんですから。」もちろん、結果は何よりも大事です。ただ、どんな結果になったとしても、依頼者やご家族様が納得していただけるように、出来ることは全てやり尽くす、そんな弁護活動を、これからも続けて行きたいと思います。
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