悪質な住居侵入事件が保護観察となった事件
解決までの期間:1か月
最終処分:保護観察
依頼者:母
1.息子が逮捕された
自分の子供が逮捕されれば、両親としては驚くのは当然です。
それが高校生であればなおさらでしょう。
この事件は、高校生の息子が、知人の女性の自宅に侵入しようとしたものの、近所を通りかかった者に取り押さえられたというものでした。
2.目的は何か?
母親から依頼を受けて、早速接見すると、本人はあくまで家の中に入りたかったと話すばかりです。
肝心の、家に入ってどうしたかったのか、女性がいたらどうするつもりだったのか、などははっきりとした答えが返って来ませんでした。
3.少年事件の特異性
成人の刑事事件であれば、当然、私も性犯罪目的なのではないかと疑っていたと思います。
ただ、少年は、自分の行動の意味や目的をよく考えず行動することがあります。
また、分かっていてもそれを表現することができないことも珍しくありません。
したがって、少年事件においては、家庭裁判所の調査官と共に、少年の幼少期の体験から遡り、性格などもしっかりと把握しなければ、事件の真相が分かりません。
4.信頼関係と告白
私は、毎日のように鑑別所に通い、事件のことだけでなく、時には好きなゲームの話などもして、少年のことを知るとともに、少年との信頼関係を築いていきました。
少年が、見た目とは裏腹に、非常に内気で、自己表現が極端に苦手であることも分かりました。
そして、少しずつ、少年も心を開いてくれるようになったのです。
5.真相と審判
文字にすれば他愛もないことかもしれませんが、女性に対するあこがれの気持ちが爆発してしまった。この事件はそういう事件でした。
そしてその背景には、これまでの経験から他者への共感力がなく、また、たまった気持ちを上手くガス抜きできない性格があったのです。
審判では、場合によっては、強制わいせつや強姦未遂といった目的を疑われてもおかしくありませんでした。
それでも、少年の気持ちを丁寧に説明することで、審判官には性犯罪目的ではないことを理解してもらい、最終的な処分も保護観察で済みました。
少年と信頼関係を築き、その気持ちを深く汲み取る。
まさに少年事件の鉄則を守った弁護活動ができたと思える事件でした。
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