否認の共犯事件において、接見等禁止の一部解除が認められた事案 

罪名:薬物密輸

結果:不起訴処分

 

1 事件の概要

本件は、外国籍の方が、奥さんと一緒に、母国から禁止薬物を密輸入したとして、薬物密輸の罪で逮捕されたという事件です。

奥さんと一緒に逮捕され、それぞれ別の警察署に勾留された上、双方に接見等禁止が付されました。

 

2 接見等禁止とその一部解除とは

通常、勾留されている被疑者には、ご家族等の弁護人以外の方も面会することができます。しかし、一定の事件においては、弁護人以外の方による面会が禁止されることがあります。これが接見等禁止といわれるものです。「等」というのは、実際に面会することの他、手紙のやり取り等も禁止されることがあるためです。

そして、この接見等禁止の状態を解消し、ご家族等が面会や手紙のやり取り等を出来る状態にすることが、その一部解除です。「一部」なのは、ご家族等の一定の方に限って面会等をできる状態にするためです。

 

3 本件での対応

一般的に、否認事件や共犯事件では、この一部解除は認められにくいと考えられています。面会に来た人を介して、口裏合わせや証拠隠滅等を図るおそれがあると考えられるためです。

本件はまさに否認の共犯事件でしたので、相応の困難が予想されました。そのため、本件では一部解除の対象としたい方(本件ではご本人の妹さんでした)の生活状況等を細かく聴取し、妹さんとの面会等を認めても証拠隠滅等のおそれが全くないことなどを丁寧に説明しました。

その結果、無事に一部解除が認められ、妹さんは面会や手紙のやり取りをすることができるようになりました。

 

4 弁護士からのコメント

本来であれば、ご本人の身柄拘束そのものを解ければよいのですが、事案によってはそれが困難な場合もあります。そのような場合には、身柄解放に向けた活動と並行して、まずは一部解除を目指すということも重要でしょう。

一部解除の申立自体は、理屈上何度でも行えるので、場合によっては検察官や裁判官と協議しながら再度申立するという対応もあり得るでしょう。

なお、本件では弁護活動の結果、事件そのものについても無事に不起訴処分となりました。

 

 

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