暴力団の話
独立開業するに当たり、刑事弁護を主たる業務にするつもりだと報告したところ、何年も前から個人事務所を開いている従兄弟から忠告を受けました。「刑事事件なんてあんまりやると、暴力団と関係ができたりするから止めといた方がいいぞ」という忠告です。
これまで刑事弁護を業務の中心にすえて仕事をしてきましたが、暴力団関係の事件は2件ありました。これが多いのか少ないのかは、良く分かりません。一件目は、暴力団の人からの弁護依頼です。電話で話があり、事務所まで来てもらったのですが、「私の力に余ります」ということで、結局はお断りしました。「先生、逃げ腰じゃありません?」なんて言われたりもしましたが、全般的にとても静かに話していて、特に暴力団だと強く感じさせるものはありませんでした。逆にいうと、それだからこそ怖いのだという気もしましたが。二件目は、暴力団プラス暴力団の顧問弁護士とのやり取りです。その弁護士というのは、元検事の相当高齢の人です。警察から教えてもらったところでは、暴力団専門の弁護士で、暴力団のパシリのような仕事で、一般人を脅して生活しているようです。実際、私は脅されている側の依頼を受けてやり取りしましたので、警察のいうことに特に疑問の余地もないと考えています。
勝手に想像を逞しくすると、こんなところでしょうか。若いころは正義感に燃えて検察官になった、その後弁護士になって、刑事事件を中心に行うようになった、刑事をやっているうちに暴力団からの甘い話もでてきた、年をとって仕事が取れなくなるに従い、暴力団の用心棒のようなことを専門にするようになってきた。まあ、当たらずと言えども、遠からずだと思います。私の従兄弟が心配してくれたのも、恐らくこういうことなのだと思います。私も、刑事弁護を仕事の中心にする以上、十分に注意していきたいと思いました。
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