“YouTuber”ならぬ”Pornhuber”が公然わいせつで逮捕！どんな事例で逮捕される？刑罰の重さは？視聴者も捜査対象になる？弁護士が解説します。

１　報道の概要

報道によると、男女２人が、紅葉シーズンの昨年１１月中旬ころ、紅葉の名所にて下半身を露出したとして、2022年７月４日、公然わいせつ罪で逮捕されました。

この男女２名は、１年ほど前から、撮影した動画を、いわゆるエロサイトである”Pornhub”などに投稿し、広告収入などで月２５０万円ほどの収入があったようです。

この事件の発覚の経緯は、この動画を見た人から通報があったとのことです。

このコラムでは、どのような事例で逮捕されるか、刑罰の重さはどのくらいか、視聴者も捜査対象になるかについて解説します。

２　 Pornhuberとは

Pornhuber（ポーンハバー）という言葉は聞き慣れないと思いますので先に解説します。

これは、YouTubeに動画を掲載して収益を得るクリエイターを”YouTuber”と呼ぶように、アダルトサイトPornhubなどにに動画を掲載して収益を得るクリエイターを”Pornhuber”と呼ぶようになりました。

３　公然わいせつはどんな事例で逮捕される？

公然わいせつは、露出したところを現行犯逮捕される事案が多いです。

しかしながら、後日逮捕されるものもあります。たとえば①目撃者がいてその場から逃走した場合、②ビデオ等で録画されている場合、③ストリップ劇場での公演の場合などです。

③のストリップ劇場での公然わいせつは、ほとんどの場合、誰かが警察へのタレコミを行い、悪質性の高いものが定期的に摘発されています。

さらに、近年増えてきたのが、④動画配信者の公然わいせつです。

数年前、動画配信サイトであるFC2のライブ配信者が公然わいせつで続々と逮捕されたことがあります。多くは、高額の報酬を得ていたりして悪質だと捉えられていた案件のようです。なおFC2の検挙が増加したタイミングは、FC2の実質的な運営元を公然わいせつで逮捕した後ですので、サーバーなどを捜査機関が見つけてきた後に摘発されているように思われます。

以上より、動画配信者が逮捕されている事案は、現状だと①多額の収益を得るなど悪質性が高いと判断される場合、及び②サーバーなどを警察が把握できて、公然と配信した人を特定できる場合に限られると思っていただいてよいでしょう。

４　今回の件はなぜ逮捕されたか

おそらく警察は、まだPornhubのサーバーまでは捜査できていない状況かと思われます。

それでも逮捕できたのは、配信したことを公然わいせつとしたのではなく、撮影時、つまり公共の場で陰部を露出して撮影していたこと自体を公然わいせつと捉えて逮捕しているからです。つまり、さきほど言及した後日逮捕の事例②に該当しているということです。

今後、Pornhuberが逮捕されるのは、このような撮影時を捉えられた場合、または動画販売のために他サイトに誘導し、その他サイトのサーバーが警察に踏み込まれた場合でしょう。

５　刑罰の重さは

公然わいせつの刑罰の重さは、刑法で、６ヶ月以下の懲役刑、３０万円以下の罰金刑、拘留（３０日未満の刑務所での拘束）、科料（1000～9999円の罰金）と定められています。

高額の収益を叩き出している事例だと、初犯の場合は３０万円の罰金刑となることが多いように思われます。

６　視聴者も捜査対象になる？

ストリップ劇場の場合、観客も公然わいせつの幇助（共犯）として捜査対象になります。

一方、動画配信の場合、いまのところ観客側が捜査対象になったものはないように思われます。そのため、視聴者が捜査対象になる可能性は低いものと思われます。

しかしながら、動画配信者から動画を購入しているような場合は、警察がその販売の事実を確かめるため、警察から問い合わせの連絡が入ることは考えられるでしょう。

また、購入した動画が児童ポルノであれば、購入者も児童ポルノ単純所持罪として捜査対象になることがあるでしょう。