成人式に虚偽の書類を提出して会場に侵入したとして、男性を有印私文書偽造・同行使と建造物侵入の疑いで逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

今年1月に開かれた東京都杉並区の成人式に虚偽の書類を提出して会場に侵入したとして、世田谷区在住の男性(26)を有印私文書偽造・同行使と建造物侵入の疑いで逮捕したという報道がありました。男性はいわゆるユーチューバーで、式典の様子を撮影して投稿していたといいます。

今回はこの事件を題材に、建造物侵入事件や私文書偽造事件の弁護活動について解説します。

 

2 建造物侵入罪とは

管理者の意思に反して、正当な理由がないのに、建造物に立ち入ると、建造物侵入罪が成立します。法定刑は3年以上の懲役または10万円以下の罰金です。

杉並区の成人式は、20歳になった人を対象に、成人の門出を祝うために開催されました。コロナウイルスの影響で、1月に成人式を行った唯一の23区ということです。その会場に、男性は、「杉並区在住の20歳男性」になりすまして、YouTubeの撮影をするために立ち入ったのですから、杉並区の意思に反した、正当な理由のない立ち入りになるのは避けがたいでしょう。

建造物侵入罪単体で逮捕がされる事例は多くありません。今回のように他の犯罪とセットになって検挙されることの方が多いです。

 

3 有印私文書偽造罪が成立すると、どうなるか?

今回、男性は、入場券を忘れた場合などに使用する「再交付申請書」に、架空の氏名や生年月日、住所を記入し、杉並区公会堂の会場内に侵入したそうです。

再交付申請書は、成人式の参加資格を証明する、社会的信用の高い文書と言えます。男性は、名義を偽った記入をして、その文書を用いたのです。このような、社会的信用のある書面に名義を偽った記入をすると、有印私文書偽造罪が、それを用いると同行使罪が成立する可能性が高いです。今回のようなケースですと、年齢だけを偽った場合でも、同偽造行使罪が成立する可能性があります。

有印私文書偽造罪と同行使罪は、3月以上5年以下の懲役になると刑法に定められており、罰金という処罰にはならないのです。逮捕の可能性もある、相当重大な犯罪です。

今回、男性は、後日逮捕されています。逮捕された要因としては、成人とお酒を飲む動画をYouTubeにあげただけでなく、有印私文書偽造罪と同行使罪が重大なものと判断されたことが大きいでしょう。

 

4 ありうる弁護活動

今回、男性は逮捕されています。まず、弁護人としては、身体解放に向けた弁護活動を行います。

次に、今回のように有印私文書偽造罪で検挙された事件は、有印私文書偽造罪に罰金刑がありませんから、起訴されれば、正式な裁判手続にならざるを得ません。そこで、なんとか不起訴に出来ないか、弁護人は検察官ともなるべく交渉していくことになりますが、成功するハードルは高いです。建造物侵入罪はなんとかなっても、私文書偽造罪は、文書の社会的信用を守っているので、示談をしようにも明確な相手がいないことが、その原因です。

そこで、起訴された際に、偽造をした人が情状面に汲むべきところがあるかをなるべく主張し、実刑のリスクを下げ、執行猶予判決が確実に取れるように尽力することが、弁護人に求められるでしょう。

 

5 文書に嘘の記述をしてご不安な方は弊所にご相談下さい

氏名や年齢などを求められ、誤魔化すために嘘の記述を書いてしまう、ということは様々な場面で起こり得ます。替え玉受験、車の免許情報、今回のような、限定された会場への立ち入りなど。どれも、有印私文書偽造罪が成立する可能性があります。

これらは、個々の事例によって、犯罪が成立するか否かも大きく変わる分野ですので、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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