家族が特殊詐欺の「受け子」で逮捕されてしまった方へ
この記事は、弁護士法人横浜パートナー法律事務所の弁護士が、令和2年3月26日現在の知識・経験をもとに執筆しています。
1 はじめに
この記事は、ご家族が詐欺で逮捕されたとの情報を受けた方に向けて執筆しています。
ご家族が逮捕されたということで、落ち着くことはできないかと思いますが、そのなかで有益と思われるアドバイスをさせていただきます。
2 前兆のない詐欺の逮捕は、ほとんど「特殊詐欺の受け子」
逮捕されたご家族の方が、ふつうの学生であったり、主婦であったりして、「まさか詐欺で逮捕されるなんて」と思われているかと思います。
しかしながら、普通の方であっても、振り込め詐欺などの現金・通帳カードの受け取り役である「受け子」になっている実態があります。
私自身の経験でも、受け子になる方は、若い学生が多いように思います。「裏バイト」のバイト募集を見て参加した人、怖い先輩に無理やり誘われた人などがいます。いずれも、一回あたり5~10万円のバイト代で採用されていました。
最近報道された事例では、Twitterのアルバイト募集で受け子になった事件や、おばあさんが、「家が競売に掛けられるので現金を用意して」「弁護士を紹介する」というメールが突然、携帯電話に届いた。記載の番号に電話をかけると、弁護士を名乗る男から「無料診断するから資料を駅まで取りに行って」と指示されて受け子になってしまった事例があります。
このように、どんな人でも、詐欺の受け子になってしまう状況だといえます。
3 受け子でも当然逮捕。面会も困難。さらに暴力団のお抱えの弁護士が来る?
特殊詐欺は、政策的な判断もあってか、刑罰がとても重いです。それもあって、捜査機関は、どれだけ末端の受け子であっても、身柄拘束します。
逮捕を避けることや、早期に釈放させることは、極めて難しいのです。
加えて特殊詐欺の場合、反社会的勢力の関与が疑われるため、身柄拘束されている間、「接見禁止命令」という弁護士以外の面会を禁止される措置がなされてしまいます。
そのため、事案の性質上、ご家族が、逮捕されたご家族の意見を聞くことも困難なのです。
逮捕されたご家族の声を聞くためにも、弁護士を早期に選ぶこと、さらに、その弁護士から裁判所に対して、「接見禁止命令」の一部解除を申し立て、ご家族だけでも面会できるように働きかけることがとても大切なのです。
なお、通常であれば、ご家族が弁護人を探さなくても、私選弁護人を選べない人のために「国選弁護人」という制度があり、最低限の弁護活動がなされるはずなのです。しかしながら、特殊詐欺の受け子の場合、これが働かないことがあります。なぜならば、暴力団のお抱え弁護士が、「黙っていないと家族に危険が及ぶ」などと脅し、私選弁護人として就任して国選弁護人の選任をされないようにしつつ、まったく弁護活動を行わないということが一般的だからです。
その点で、もしご家族が詐欺で逮捕されたという連絡を受けたら、兎にも角にも刑事事件に強い弁護士に相談に行くべきなのです。
4 被害金額を全額弁償しないと実刑
特殊詐欺の受け子は、罰金になることはありません。弁護士として目指す目標は、①嫌疑不十分で不起訴を目指すか、②正式裁判の上で執行猶予を目指すかのいずれかになります。
もし、やっていないという事例であれば、①嫌疑不十分で不起訴を目指すということも十分考えられます。しかしながら、これまでの裁判例では、ある程度のアルバイト料をもらいながら、複数回受け子のアルバイトをしていた事例について、「中身が金銭かもしれない」ということを黙示的に認識していたと認定し、詐欺罪の成立を認めています。そのため、アルバイト料がなかったり、実際に物を受け取っていないという事例の場合は争うべきですが、そうでない事例の場合は、自白するほうが望ましいことも多いです。
もしやってしまった場合については、実刑判決を避け、執行猶予を目指すことになります。しかしながら、これまでの裁判例から考えると、起訴された被害金額全額を弁償できなければ、残念ながら実刑となります。
そのため、もし早いタイミングからお金を集めていただき、弁護士に示談活動を依頼する必要があるといえます。
5 当事務所のこれまでの実績
当事務所は、直近5年間、依頼を受けた振り込め詐欺の事案で、実刑を回避できております。
やっていない事例で否認する技術、やっている事例で示談する技術に自信があります。
担当弁護士の携帯電話の番号をお伝えしているので、ご依頼者のご相談・ご心配に親身に応対することもできます。
ご家族のためにも、ぜひ、当事務所にご依頼いただければと思います。
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