ビールの売り子痴漢で逮捕!どんな犯罪が成立する?報道される?刑罰の重さは?

目次

1.事件の概要と背景

2.球場で、ビールの売り子のお尻を触る行為はどのような犯罪に該当する?

3.逮捕されることはある?

4.報道される?

5.刑罰の重さは?

6.どこまでの行為が「ちかん」?

7.もし過去の行動が不安なときは、どうするのがよい?

 

1.事件の概要と背景

 2019年7月2日午後6時20分ころ、横浜スタジアムの外野席でビールを販売していた売り子の女性の尻を触った疑いで、56歳の男性が神奈川県迷惑行為防止条例違反の容疑で逮捕されました。

 報道によると、横浜スタジアムで働く他の売り子も痴漢被害を報告しており、その数は判明しているだけで7名以上になるとのことです。

 

2.球場で、ビールの売り子のお尻を触る行為はどのような犯罪に該当する?

 球場で、ビールの売り子のお尻を触る行為は、いわゆる「ちかん」として、神奈川県迷惑行為防止条例の第3条1項1号に違反します。

 

 神奈川県迷惑行為防止条例

 (卑わい行為の禁止)

 第3条 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を

 覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。

  (1)   衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。

  (以降省略)

 

 

 神奈川県で「ちかん」が成立するためには、次の2要件が必要となります。

  ①公共の場所にいる人(または公共の乗り物に乗っている人)に対して

  ②人を辱めたり、不安にさせたりする方法で、人のからだに触れること

 

① 「公共の場所」というのは、「道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場、飲食席、遊技場その他の公共の場所」のことをいいます(合田悦三「いわゆる迷惑防止条例について」小林充先生佐藤文哉先生古稀祝賀刑事裁判論集刊行会編『小林充先生・佐藤文哉先生古稀祝賀刑事裁判論集 上』(判例タイムズ、2006)335頁)。そのため、球場は、遊技場の一つとして「公共の場所」に該当することになります。

 

② また、尻を触るという行動自体、人を辱める方法を必然的に含みますので、「人を辱めたりする方法で、人のからだに触れる」ものといえるでしょう。

 

3.逮捕されることはある?

 最近は、警察官による検挙の場合、逮捕までされることは多くありません。

 逮捕事例のほとんどは、「私人逮捕」と呼ばれるものです。

 実は、一部の犯罪を除き、誰でも現行犯として逮捕することができるのです。この報道の件も、警備員が私人逮捕したものではないかと思われます。

 私人逮捕された場合は、警察官に引き渡された上で、警察が身柄拘束の手続きを行います。そして、夕方に逮捕された場合は、翌々日に検察庁に送致されるまで、釈放されることはありません。

 このような球場などの人が多い場所の事件だと、このような私人逮捕の事例が非常に多く、そのため逮捕手続きが自動的に取られてしまうということが多くなってしまうように思います。

 後日逮捕の可能性は、事件の性質上、そこまで高いとはいえませんが、常習的に痴漢行為を行っていたりする悪質な事案であれば、逮捕状がとられることも考えられるでしょう。なお、いわゆる「抱きつき」型のちかんは、迷惑行為防止条例ではなく、「強制わいせつ」という犯罪になります。

 

4.報道される?

 このような、世間の耳目をあつめる案件は、実名報道される可能性は高いといえます。それだけでなく、インターネットで転載などがなされ、長期間の間、公衆の目にさらされることになるかと思われます。一時の興味で行ってしまったことで、人生を棒に振るということも考えられます。

 

5.刑罰の重さは?

 初犯のちかんの量刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。常習として痴漢行為を行っていた場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。

 本件のように、複数人に対してちかんを行うような事案だと、初犯で立件されるのが1名であれば30万円程度の罰金刑に、2名程度であれば80万円前後の罰金刑になることが考えられます。

 

6.どこまでの行為が「ちかん」?

 手をにぎる程度であれば、ちかんとして立件されることは考えにくいです。

 やはり、尻や足を触る程度になると、立件対象になるのではないかと考えられます。

 抱きつくと、「強制わいせつ」という別の犯罪になり、懲役刑となります。

 

7.もし過去の行動が不安なときは、どうするのがよい?

 後日逮捕の可能性は低いといっても、逮捕の可能性自体はありますので、逮捕を避けるためには、自首をするのが望ましい案件といえます。弁護士をともなって警察に自首し、警察の資料として残してもらえれば、逮捕までされることは、ほとんどないといえるでしょう。

 また、被害者と示談できれば、前科を回避できる可能性もあります。もし、球場でちかんをしてしまった場合は、弁護士に相談してもらうのがよいでしょう。

 

(文責:杉浦 智彦 令和元年7月29日)

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