起訴件数が10件を超えたが、執行猶予を獲得した事例
ラインやツイッターなどで、安易に行われる児童ポルノの罪ですが、 最近は非常に厳しく裁判に至るケースも充分あります。
被害者が、いっぱい!!
児童ポルノの罪は、盗撮や痴漢などと違って、異なる人に、同じ罪を繰り返してしまいやすい犯罪です。 例えば、痴漢でも他の女性に余罪があるケースが多いのですが、 その際に検挙された件以外は、どの女性に行ったのかなどが確定できず、 余罪についてまで立件されることが少ないです。 一方、児童ポルノは、ラインやツイッターなどで履歴が残っていることから、どの女性に対して行ったか事後的にも特定することができます。そのため、複数人に対して行うと、複数人分の罪が立件される可能性が高いのです。 よく「画像は消しました、やり取りも消しました、これでも警察に見つかりますか?」といった相談も多いですが、警察は当然、データを復元処理できます。さすがに、データを消したら捕まらないということにはなりません。 今回、裁判まで担当した児童ポルノの案件は、被害者が5名を超えるという非常に多数の被害者が認定された事案です。
起訴事実は、より多い!!
また、同じ女性に対しても、複数件の児童ポルノ製造罪が成立してしまいます。 例えば、一回、「写真見せて?」に対して、2枚、3枚送ってきたということであれば、それは一つの罪として処理できますが、 一度送ってもらって、また一週間ぐらいして、また写真を送ってもらう。これは、同じ女性からであっても、別の罪となります。 児童ポルノ製造のケースは、少女とコミュニケーションを取りながら行うものが多いので、このように何度も送ってもらっていたということも少なくありません。
起訴件数は、10件以上・・・
たしかに、常習的に複数の少女と何度も写真を送ってもらっていたという事案だったのですが、起訴事実を見たときにはびっくりしました。 10件を超える罪が、起訴されたのです。 これは、裁判対応も大変だと、既に通ってもらっていたクリニックへの治療などには、一層力をいれてもらいました。 それに加え、贖罪寄付という反省を示す情状弁護活動に加え、 尋問練習を何度も何度も繰り返し行いました。 これだけ起訴事実が多いと、裁判所も、常習性、再犯性を非常に危惧すると思われたため、 本人が必死に反省していること、もう決してやらないことを、 客観的に担保できるだけの証拠をできる限り準備しました。
無事、執行猶予判決!!
本人も非常に反省しており、クリニックへの治療にも熱心に通ってくれました。 その上、できる限りの証拠も準備し、裁判前に何度も尋問練習を行うという徹底した結果、何とか無事、執行猶予判決を勝ち取ることができました。
弁護士から一言
まだまだ児童ポルノの認識について甘い考えを持っている人が多いように思います。 今回のケースは、おそらく全国的にもリーディングケースになるほどの規模だったとは思いますが、 依然、甘い気持ちで、少女からわいせつ画像などをもらっていると、逮捕、裁判ということにもなりかねません。 児童ポルノは、本当に注意すべき犯罪だと思いました。
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