ジャニーズの性被害問題、新刑法の下ではどんな罪になるのか?

1 ジャニーズの性被害問題について

ジャニーズの創業者による、少年たちへの性加害問題が、現在大きく取り上げられています。スターを目指してジャニーズにやってきた少年たちに、スターになる条件として性交渉などを要求した行為が、厳しく非難されるのは当然といえます。

しかしながら、その行為が刑法上の強姦罪や強制わいせつ罪などに該当したかどうかは、当時の法律を検討する必要があります。

そこで、ジャニーズの事件の特殊性について、これまでの刑法の改正の中で、どのような罪が成立したのかを、検討してみます。

 

2 強姦などに関する刑法の改正

強姦などに関する刑法の改正は、基本的に2回行われました。

今から6年ほど前の2017年に改正され、その後今年2023年にも大きく改正されました。端的に言うと、処罰される範囲が広くなり、刑も非常に重くなってきています。

そこで、ジャニーズの事件を例に、それぞれの改正でどのように処罰の範囲が広がってきたのかを見ていきます。

 

3 ジャニーズ事件は男性に対するものである点

性犯罪の被害者は基本的に女性が想定されていました。特に強姦罪は、2017年改正以前は、女性のみが被害者でした。(ちなみに強制わいせつは、男性も対象でした。)

ジャニーズの性加害事件の被害者はすべて男性です。そして、問題の創業者が高齢で亡くなったのは、2019年ということなので、刑法改正の2年後です。

そうであるなら、どんなに酷い性加害事件だとしても、少なくとも本件では強姦罪が成立したことはなかったと言えます。逆に、2017年の改正刑法では、男性に対する強姦罪も認められ、刑期も5年以上の有期刑(改正以前は2年以上の有期刑)とされた。このときに同じ性加害がなされていたら相当長期間刑務所に入ることになっていたはずです。

 

4 年少者に対するものである点

本件事件の特徴は、被害男性の年齢が、相当低いことでした。14-15歳程度の少年が、性被害にあっています。

2023年に改正された現在の刑法が適用された場合は、たとえ本人の同意があったとしても、16歳未満の者に対する性加害行為は、自動的に犯罪とされます。従って、15歳までの少年に対する性加害行為は、現在なら当然にわいせつ罪が成立し、6月以上10年以下の拘禁刑に処せられることになります。

ちなみに、本件創業者が性加害行為をしていたときには、13歳未満の者に対する行為のみが、自動的にわいせつ罪(強姦罪も)として認められていました。

 

5 一応の同意があった場合が多かった点

本件性加害行為の特徴として、被害者に対して特に暴行や脅迫行為までは行われていなかったことも挙げられます。被害者としても、自分がスターとなるためにはやむを得ないことだと、諦めて被害を受けていたこともあったと思われます。

2023年の改正以前は、基本的には暴行や脅迫を行って、強姦やわいせつ行為をした場合のみが処罰されていました。従って、本件のように少年に対する性行為でも、暴行強迫がない限りは犯罪とはならなかったのです。

しかし、2023年の改正により、暴行や脅迫をしなくても、同意なくして行われたわいせつ行為などは、犯罪となることが明記されました。たとえば、同意するかどうか考えるいとまを与えずに行ったようなわいせつ行為は犯罪である旨明記されています。さらには、経済的社会的な地位を利用したわいせつ行為も同じく犯罪である旨明記されています

従って、新刑法の規定によれば、ジャニーズ創業者の行為は、強制わいせつ(不同意わいせつ罪)が成立することになります。

 

6 性犯罪は、年ごとに厳しく罰せられている

これまで見てきたように、ジャニーズの性加害問題は、当時の刑法に照らせば基本的に犯罪とは言えないものでした。逆にいえば、現代は以前よりも性犯罪が厳しく処罰されるようになってきているということです。これは刑法だけではなく、青少年保護育成条例、買春禁止法、児童福祉法などによっても、児童に対する性犯罪は厳しく取り締まられるようになってきています。

「この程度なら犯罪にはならない」という安易な考えでは、現状では刑務所に行くことになっても不思議ではないです。

 

7 新刑法で罰せられる可能性のある人は、早めにご相談ください

今後ますます買春関係の罰則は厳しくなっています。身に覚えのある方は、自首を含めて出来るだけ早く弁護士にご相談ください。

当事務所では、相手方との示談、検察官との交渉など、一番良い結果となるように、できる限りの弁護活動を行ってきています。

 

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