女子トイレに正当な理由なく侵入したとして、男性が逮捕されたとの報道!?
1 男性が3ヶ月半前の建造物侵入事件で逮捕
商業施設の女子トイレに正当な理由なく侵入したとして、男性(35歳)逮捕されたという報道がありました。
男性は、女子トイレに2か所ある個室の1つに侵入した疑いが持たれています。隣の個室に入ってきた10代の女性がトイレに入ると、トイレの上から覗き込んでいた男性の姿が、ステンレス製のトイレットペーパーカバーに写り込んだため、事件が発覚したそうです。
男性は逃走しましたが、商業施設側が通報し、商業施設内の防犯カメラなどの記録から男性の容疑が浮上し、3か月半後に逮捕されました。
今回は、建造物侵入を伴う性犯罪事件の弁護活動について解説します。
2 建造物侵入罪とは
トイレでの覗きや盗撮というのは、された側からすれば、迷惑な行為です。多くの場合は、公共施設や商業施設にある異性のトイレに立ち入るという行為が伴います。
覗きや盗撮を行うことに対しては、迷惑防止条例違反が成立する可能性がありますが、市町村や国の公共施設や交通機関ではない場所で覗き等をしても、条例違反にはならない県もあります。では、そのような県では、公共の施設のトイレでなければ、覗きや盗撮をしてもおとがめ無しということになるのでしょうか。
そうではありません。異性のトイレに覗きや盗撮目的で立ち入ること自体が、高い確率で建造物侵入罪になります。
建造物侵入罪は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります。
今回の事件では、男性が、商業施設の女子トイレに忍び込み、隣の個室から女子を覗いていた疑いが持たれています。男性が覗きを行ったとされるのは、公共施設ではなく商業施設であるため、覗き行為は条例違反とならない可能性があります。
しかしながら、覗きのために女子トイレに忍び込むことは、たとえ覗きを実行しなくても建造物侵入罪にはなりえます。そこで、男性は迷惑防止条例違反についてではなく、建造物侵入罪の疑いで逮捕されたものと考えられます。
3 数ヶ月経っても逮捕される可能性
今回のように、性的な被害が伴うような態様の建造物侵入は、子どもがボールを取りに他人の居宅に侵入するのとはわけが違います。事件としては決して軽く見られるものではなく、後日逮捕の可能性が十分あります。
しかも、今回のように覗きにあった人が犯行に気づいた場合には、警察への通報や、被害場所の施設への相談などがされることで事件化され、防犯カメラの映像を通じて、後日犯人特定につながるというケースも十分ありえます。
今回の事件は、商業施設が警察に通報したということです。
先程述べたとおり、今回の事件は、女性を被害者とする迷惑防止条例違反よりも、商業施設を被害者とした建造物侵入罪が成立する可能性のほうが高いのです。
今回は、女性が覗きにあったことを知った商業施設が、その事件を重く受け止めた上で被害届を出し、警察も事件を重く考え、捜査を入念に続けたことで、3ヶ月半後の逮捕という結果になったものと推測します。
4 今回の事件に対する弁護活動
身体拘束を受けた被疑者には、まず、面会を行うとともに、一刻も早く体を自由にできるよう弁護活動を行います。
その上で、建造物侵入罪の被害者は、その建造物の管理者ですので、その管理者と示談ができるように交渉を行います。謝罪金を受け取って頂いた上で、適宜謝罪文などを用意し、弁護人が、被疑者の誠意を伝えます。そして、合意書を書いてもらい、事件を許してもらえるよう尽力します。
今回ケースでは、覗きにあったとされる女性の処罰感情を、商業施設が受け止めた上で被害届を出した可能性もあります。検察も処分をする際に、覗きをしていたという事実を、重要視するでしょう。
そこで今回の場合は、覗きの被害にあった女性に対しても、一定の示談交渉や謝罪をしていく必要性があるものと考えられます。
5 覗きや盗撮をしてしまった方は、ご相談下さい
たとえ覗きや盗撮自体に犯罪が成立しないとしても、トイレに立ち入ること自体に犯罪が成立し、逮捕されるおそれのあること、結局、覗きや盗撮を警察や検察が重く受け止めることが、お分かり頂けたかと思います。
突然逮捕されないか、自分への処分がどうなってしまうのか、ご不安な方は、まずは経験豊富な弊所にご相談下さい。