検察官によって処分が違う?他の事例を見せて不起訴となった事件
罪名:盗撮
解決までの期間:5か月
最終処分:不起訴
依頼者:本人
単純な盗撮事件
本件は事件としては単純な、電車内での盗撮事件でした。依頼者は、逮捕こそされませんでしたが、現行犯で捕まりました。今回が初めて捕まったということで、前科前歴等はありません。このままでは、罰金刑となり、前科が付いてしまいます。
盗撮事件の処分の相場
盗撮事件の場合、本件のような初犯ですと、被害者との間で示談ができれば、まず間違いなく不起訴としてもらえます。示談ができない場合でも、反省の気持ちや、示談に向けての誠意ある取り組みなどを検察官に理解してもらうことで、不起訴処分としてもらえることもあります。これが、少なくとも京浜地区において、多くの検察官が盗撮事件を取り扱うときの基準となります。
相場を知らない検察官
ところが、このような相場を知らないか、知っていても独自の基準で判断する検察官がいるのです。特に、他の地域からやってきた検察官や、そもそも盗撮事件などの案件をこれまで取り扱っていなかったような検察官の場合、他の検察官と違った判断をすることが多いようです。本件の検察官と面会し、処分について話した時に、こういわれました。「迷惑防止条例違反の場合は、被害者は一般公衆なのだから、写真をとられた人と示談しても自分としては評価しない。たとえその人が許すと言っても、罰金刑は変わらない。」
検察官の強い裁量権
検察官は、起訴するかどうかなどについて、非常に強い裁量権を持っています。上司の決裁を受ける必要があるにしても、痴漢や盗撮のような軽い犯罪の場合は、事実上担当検察官が自由に判断できます。そこで、これまで東京神奈川で当事務所が行った、100件以上にのぼる迷惑行為防止条例違反事件の結果についての一覧表を作成し、それを見せて再び検察官と話し合いました。これまでの多数の例をみせて、初犯で示談が成立しているときには、他の検察官ならば必ず不起訴とするであろうことを説明するとともに、検察官によってあまりに処分が違うのならば、裁量権の問題ということで、争わざるを得ないことまで伝えました。
最終的な不起訴処分へ
当方の強い説得が役に立ち、最終的に本件は不起訴としてもらえました。当事務所で、多数の具体的事例をデータベース化しておいたことが、検察官相手の説得に役立ったと感じております。