被害者と示談できなかったが、贖罪寄付で不起訴になった盗撮事案
罪名:迷惑防止条例違反(盗撮)
最終処分:不起訴
解決までの期間:約4ヶ月
他事務所さんとの比較の結果の受任
うちの事務所では、被害者と示談できなくても不起訴になった盗撮案件も多く、これもそのような案件の一つです。
その依頼者さんも、うちの事務所の評判を聞いて法律相談に来た一人でした。当方では、不起訴にする方法や示談金の目安などを実際の例に応じて的確に回答しましたが、この日は受任にいたりませんでした。というのも、相談者さんは、弁護士の比較検討をしたいということで、他事務所さんの予約を入れていたからです。
そして数日後、その相談者さんから電話があり、正式に受任することになりました。うちの事務所の説明が一番丁寧であったということでの御依頼でした。その信頼に報いるべく活動を開始しました。
被害者様のお気持ちは?
警察に電話をしたところ、面倒くさがりで示談のためにあまり動きそうになかったので、送検された後に、検察官に示談を打診する方針を立てました。そして、何時でも示談できるように、謝罪文を作成しておきました。
さて、送検の後、検察官に示談を打診して、まずは、検察官から被害者様のお気持ちを聞き出してもらうことにしました。
しばらく経ち、検察官経由で被害者様のお気持ちを確認できました。それは、以下のようなものでした。「加害者が反省さえしていれば、それでよい。示談についてはお断りしたい。弁護士から、被害者様に接触するのも、お断りしたい。」
この被害者様のお気持ちは嬉しい点と悩む点があります。
嬉しい点としては、被害者が怒っていないという点です。処罰するという積極的な意思がないという点はプラスです。
悩ましい点という点は、「許している」かいないかが確定的ではないという点です。「反省さえしていれば、それでよい」というのは、許しているかのようにも見えます。しかし、もう煩われたくないということで、このように述べる被害者様もよくおります。明確に許してもらったわけではありません。
少なくとも、これ以上被害者様を巻き込むことは、更に傷つけることになりますので、それだけはしませんでした。
最後のひと押し贖罪寄付
その後の処分について、検察官と交渉をしました。検察官としても、被害者様が怒ってない一方、明確には許してないので、どのように処理するのか悩んでおりました。
そこで、当方から贖罪寄付を、検察官に対し提案しました。
贖罪寄付とは、罪を償うための寄付です。犯罪被害者を保護する活動のために寄付するということで、被害者のための寄付であるから、賠償したのと同じように考えて欲しいと提案をしました。
この贖罪寄付が最後のひと押しとなり、依頼者さんは無事不起訴となりました。