被害者が特定できず示談できなかったが贖罪寄付で不起訴になった盗撮事案
罪名:迷惑防止条例違反(盗撮)
解決までの期間:約2ヶ月
最終処分:不起訴
迅速に終わった案件
うちの事務所では、被害者と示談できなくても不起訴になった盗撮案件も多いです。 これはその中の一件であります。 印象深い点は、私が携わった案件の中で一番早く終わったという点にあります。 どの程度早いかというと2ヶ月。これは相当早いです。 様々な偶然が重なって早期に解決できた事案です。
逮捕後釈放されてから弊所に相談や依頼に来るというのはよくあることです。 この件もご多分に漏れず、同じような展開です。 但し、被害者が特定されていないようであり、少し時間がかかるかもしれないと思っておりました。
しかし、依頼から1月程度で送検されました。警察でどのように考えていたかは分かりません。 とにかく想定外に早い送検でした。 何より、自身が担当した案件の中で一番早い進行だったのです。
検察官との打ち合わせ
進行も早いどころか早過ぎることもあって、送検後は、検察官と打ち合わせをすることにしました。
検察官の話によると、送検されても被害者が特定されていないということでした。 そのようなこともあり、検察官も本件の処理には悩んでいるようでした。 被害者のいる犯罪では、被害者の意思が重要です。 しかし、その被害者の意思を確認できない場合はどうすればよいのでしょうか。
検察官としても、なにもしないままで不起訴としてよいか悩んでいるようでした。 なぜなら、このような不起訴は、無罪放免と変わらないようなものだからです。
検察官の悩みどころもわかったことから、私はある提案をしました。 それは、「30万円ほど贖罪寄付をするので、それで被害者への賠償をしたということに近いと考えて、不起訴にしてくれないか」というものです。
贖罪寄付とは、罪を償うための寄付です。 私共ですと、法テラスという団体に、犯罪被害者を保護する活動のために寄付するということも多いです。
このような寄付をすることで、無罪放免と異なる上、被害者のための寄付であるから、賠償したのと同じように考えて欲しいとお願いをしたのです。
検察官も当方のアイデアに納得してくれました。とは言え、簡単に不起訴になったわけではありません。 贖罪寄付後に、検察官の取調べの際、依頼者は検察官から叱責を受けました。 何も反省しないままで不起訴となってはいけないという考えからでしょう。
依頼者も検察官の箴言を受け入れて大いに反省しました。
その後、検察官に処分を確認すると不起訴ということでした。
依頼から不起訴まで2月。私担当の刑事事件で最短のものでした。