SNSで知り合った人からの口座譲り受け等の疑いで、男が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
2020年3月に、Twitterで知り合った面識のない人にキャッシュカードを郵送させて口座を譲り受けたうえ、暗証番号やネットバンキングのIDとパスワードを入手した容疑で、43歳の男が逮捕されました。
2 口座売買の案件が増加しています
口座の譲り渡しをめぐっては、闇金融などで多重債務を抱えた人が脅された末に口座を買い取られ、借金の返済に充てられるケースが多くみられています。
この手の案件は、口座を売ってしまった人が自首して発覚することもあるのですが、多くの事例は、その口座が振り込め詐欺の振込先口座に利用され、それを発見した金融機関の通報によって口座売買が発覚するというケースです。
今回は、不正アクセス禁止法に関する別の事件の捜査中に口座の不正利用が発覚し、その後の捜査で容疑者が特定されましたので、やや特殊な発覚の仕方をしています。
3 どのような罪が成立する?
犯罪による収益の移転防止に関する法律第28条1項に定められている「預貯金通帳等譲受罪」が成立します。業務性があれば、刑罰は重くなります(同法28条3項)。
この罪だけであれば、刑罰の重さは、上限が1年以下の懲役、100万円以下の罰金です。罰金と懲役を両方とも科することもできます。
過去の事例を見ると、犯罪利用されていることもあってか、初犯でも正式裁判のうえで、懲役刑(懲役1年程度・執行猶予付き)+罰金刑(30万円程度)となっていることが多いです。
ただ、この手の案件は、ほかにも犯罪に手を染めていることがほとんどですので、実態としては、他の犯罪の刑罰と合わせて、刑務所にいくことになっている事例が多いです。
なお、口座を売った側も当然犯罪です。初犯であれば、30~50万円の罰金刑になっていることが多いです。
この場合も、その口座が利用されて発生した犯罪の被害者に対して示談をすることが有効な手段です。
また、自首をすることも、有効な手段です。
4 有効な弁護活動は?
さまざまな弁護活動が考えられますが、仮に犯罪利用されている口座の場合は、その(実質的な)被害者に対して示談交渉をすることが考えられます。
5 お困りの方はご相談下さい
犯罪収益移転防止法違反は、近年、非常に摘発例が増えている犯罪です。借金で首がまわらなくなっても、決して口座は売ってはいけませんし、仮に売ってしまった場合は、速やかに弁護士に相談すべきだといえます。
困っている場合は、弁護士にぜひご相談ください。
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