わいせつ動画投稿容疑でリベンジポルノ規制法違反!刑罰の重さは?どのような弁護活動が有効?
1 報道の概要
2020年3月6日にマッチングアプリで知り合った長崎県の女性に無断で、わいせつな動画を販売サイトに投稿した疑いで、28歳男性が逮捕されました。今年6月に被害に気づいた女性が伊万里署に相談したとのことです。
弁護士が、この手の案件の刑罰の重さを解説します。
2 リベンジポルノの量刑相場はまだ形成されていない?
この事件は、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」という、いわゆるリベンジポルノ防止法の違反事件になります。
リベンジポルノ防止法は、平成26年に制定された法律で、全国的にも、警察での検挙件数が、令和元年までに228件(犯罪白書より計算)に過ぎず、また公表されている裁判例も10件程度と極めて少なく、刑罰の相場というのが決まっていない状況だといえます。
刑罰の重さについてですが、当事務所が把握するものという前提にはなりますが、罰金刑だけで終わるものはありません。実際にも、被害感情が相当強いことから、罰金刑のみの略式裁判で終わるという事例は極めて稀であることが推測されます。
当事務所で把握している事件は、正式裁判がなされ、2割程度の事件が実刑、その他の事件は懲役刑の執行猶予となっています。そして、営利目的や販売をしていた事例だと、懲役刑にプラスして罰金刑が加えられているような状況です。
公表されている裁判例の事例については、たとえば以下のようなものがあります。
①元交際相手である被害者の顔の一部が写った性行為時の動画データを,氏名,勤務先等の被害者を特定しうる情報と共に,より多くの人が閲覧するよう,8回にわたり,インターネット上に掲載したという事例で、懲役2年保護観察付き執行猶予4年
②被害者数は8名,起訴された事件数は17件というもので、常習性・職業的犯行と認定されている事件で、うち7名の被害者と示談が成立している事例で、懲役3年執行猶予5年に加え、罰金100万円
③ストーカーや名誉毀損の前科がある人の、執行猶予中のリベンジポルノの事件で、2年の実刑判決
④商業施設内の男女兼用のトイレ内に設置したビデオカメラで撮影された,用便等をする被害者の顔や陰部の周辺等を含む姿態の動画を,盗撮動画の買取販売サイトに買い取らせて提供した事件で、犯人に前科があることも考慮し、6ヶ月の実刑判決
その他にも公表裁判例や、当事務所で取り扱った案件、独自に入手した裁判例等もありますが、刑罰の期間については、事案によっても大きく異なっている状況であり、まだ量刑相場というものは形成されていないように思われます。
3 どのような弁護活動が有効?
リベンジポルノ防止法は「親告罪」と呼ばれる犯罪です。被害者が告訴をしている状態でなければ裁判を維持できません。
そのため、弁護活動としては、示談をして、なんとか告訴を取り下げてもらうという活動になります。
この手の案件は、犯人が直接被害者に接触することはできないので、刑罰を下げるためには、弁護士に依頼をし、すみやかに示談活動ができるようにしなければなりません。
4 まとめ
リベンジポルノ防止法は、まだまだ刑罰の相場が不明瞭です。そのため、いきなり刑務所にいく可能性もあるような事件です。
リベンジポルノ防止法の事件では、速やかに弁護士をつけて、被害者と示談するために動くことが極めて有効です。
早めに弁護士に依頼されることをおすすめします。