通行中の女性から下着を脅し取ったとして、刑務官の男が逮捕されたとの報道!?
1 事件の概要
報道によると、徳島刑務所刑務官の男(30)が、深夜に帰宅中の20代女性を言葉などで脅迫し、下着1枚を奪ったとして、強盗の疑いで逮捕されたとのことです。
男は、調べに対し、下着を奪ったことは認めているが、脅迫の仕方について一部を否認しているとのことです。
2 本件で成立する犯罪について
本件のように暴行や脅迫により他人の物を奪う行為は、その行為態様によって、「強盗罪」か「恐喝罪」に該当します。
この両者は、暴行や脅迫の程度により区別されます。
強盗罪は、被害者の反抗を抑圧する程度の暴行や脅迫が必要になり、恐喝罪は、被害者の反抗を抑圧する程度に至らない暴行や脅迫の場合に成立します。
簡単に言うと、被害者が抵抗できないような状態にまでなっているかどうかで区別されますので、言葉による脅迫の場合、ナイフや拳銃といった凶器をちらつかせていたり、手足を縛って逃げられないようにしていた場合は強盗罪、言葉のみの場合は恐喝罪という区別になります。
本件では、「言葉などで脅迫」となっており、これだけだと被害者が抵抗できない状態にまでなっていたのか疑問もあります。しかし、深夜で人通りがない、加害者と被害者との距離や体格差などといった客観的状況や、加害者が「住所を知っている」など告げて心理的に逃げられないと思わせたなど、状況によっては被害者が抵抗できない状態になっていた可能性はあります。
本件の加害者は、「脅迫の仕方について一部を否認」しているとなっていますので、「強盗罪」か「恐喝罪」かが今後の争点になり得ます。
3 強盗罪について
強盗罪は、逮捕・勾留される可能性が非常に高い犯罪であり、ほぼ必ず逮捕・勾留されるといえます。
また、刑罰は「5年以上の懲役」ですので、非常に重い犯罪です。懲役刑しかありませんので、起訴されれば正式な裁判を受けることになります。
これを避けるためには、逮捕・勾留中の約20日間のうちに被害者と示談を成立させ、不起訴を目指すことになります。
仮に不起訴とならず正式な裁判となった場合も、被害者との示談は、最終的な処分に影響します。
強盗罪の場合は、「5年以上の懲役」ですので、執行猶予がつくことは基本的にありません。ただし、初犯である場合、犯行態様の悪質性が低い場合、自首している場合、示談が成立している場合などは、減刑されたうえで執行猶予がつく可能性もあります。
4 恐喝罪について
恐喝罪の刑罰は「10年以下の懲役」ですので、強盗罪に比べると軽いですが、刑法の中では重い犯罪になります。
基本的には強盗罪で解説したものと同じですが、恐喝罪については執行猶予がつけられますので、この点は大きく異なります。
5 弊所の弁護方針について
強盗罪にしても恐喝罪にしても、逮捕の可能性が高く、その後、20日間勾留されて警察に拘束される可能性も高いです。
また罰金刑もありませんので、起訴されれば正式な裁判となります。そして、強盗罪については原則として執行猶予がつけられないので、上で書いたように減刑されない限り、実刑となり、刑務所へ行く可能性があります。
しかし、被害者又は被害者の保護者との間で、示談が成立すれば、不起訴となり前科がつかない可能性も十分にあります。
多くの被害者は弁護士が入らないと示談交渉には応じないといいますので、経験豊富な弁護士を選任し、早期に示談交渉を求めていくことが最良となります。事実関係を争わないいわゆる「自白事件」では、起訴されてしまうと有罪はほぼ確定してしまうので、起訴されるまでが勝負になります。
強盗罪か恐喝罪か判断に迷う事件については、検察官も慎重になりますから、示談を積極的に働きかけてくることもあります。
当事務所は、これまで、多数の示談・不起訴処分を獲得しております。
もしご自身やご家族が強盗罪や恐喝罪で逮捕された場合は、当事務所までご相談ください。