SNSで女子高生になりすまし、わいせつな記載をしたものとして男性が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
SNS上に掲載された写真を使用して女子高校生になりすまして別のアカウントを作成、SNSで淫らな内容の投稿を繰り返したなどして、警察は24歳の男を名誉毀損容疑で逮捕されました。
男は、「書き込みをしたが、一部は自分ではない」と一部否認しています。警察によると、2人は面識が無く、女子高校生が違うSNS上で第三者からの指摘を受け、被害が発覚しました。
以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。
2 名誉棄損とはどういう犯罪か?
名誉棄損罪とは、他人の社会的な評価を低くするような事実を示すことで成立します。
基本的に、その事実が本当のことであっても、それによって他人の評価が下がるようなことであれば、名誉棄損罪になるわけです。この点、政治家などの社会的に重要な人については、その「事実」が本当だとしたら名誉棄損は成立しないということになっています。
しかしいずれにしても、本件のような女子高生が相手の場合、社会的評価を下げるような事実を示したら、名誉棄損となるわけです。
3 なりすましと名誉棄損
本人のふりをして、ネットなどに投稿する、「なりすまし」の事案は、かなり多く認められます。特に社会的な評価に関連しないような事柄であっても、勝手に自分の名前や写真を使用されて、自分が行ったわけでもないことを言われるのは不愉快です。
しかし、本件のように、わいせつな内容の書き込みとなりますと、一般的に書き込んだ人の社会的な評価は低下します。その意味で、名誉棄損とされる可能性が出てきます。
4 一部は自分でないという否認
本件では、一部の書き込みは自分ではないと、否認しているとのことです。
こういう、「一部は自分がやったのではない」という否認は、刑事弁護の世界では比較的よくあります。会社のお金の横領事件などで、「自分も確かに横領していたが、他の人もしていた」などという場合です。
確かに、他人のしたことの責任まで負わされる必要はありません。ただ、本件のような事案ではそもそも全部の書き込みのうち、一部しか立件され起訴されることはありません。
そうであるなら、一部否認で強く争うよりも、反省の気持ち、謝罪の気持ちなどを表した方が、かえって良いこともあります。
5 本件の弁護活動
本件の場合、名誉棄損の相手方女子高校生がいますので、十分な謝罪、二度と行わないことの誓約を前提に、損害賠償の上示談をすることが必要です。
相手方が許してくれるようでしたら、社会的な制裁と相って不起訴処分となることも可能です。
弁護士としては、本人のこのような活動を十分サポートする必要があります。