GPS機能付きのアプリで自宅を特定して、殺人未遂との報道!?
1 事件の概要
北九州市の住宅で、女子高生(15)と母親(37)が自宅内に隠れていた男に刃物で刺され重傷を負いました。
この約20分後、犯人と思われる17歳の少年が、1キロほど離れたJRの踏切で列車にはねられ死亡しました。刺された女子高生は、この少年とGPS機能付きアプリで交流していたが、「その機能で少年に住所が特定された」などと周囲に話していました。
以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。
2 犯人に被害者の情報を与えること
本件では、GPS機能付きアプリが無ければ起こらなかった犯行とも考えられます。このような問題は、以前からありました。
そもそも、犯人が犯行に及ぶことを知っていながら、被害者の情報を提供した場合は、殺人のほう助罪などが成立する可能性があります。今回のアプリによる住所特定では、そこまでの法的な責任は生じない。
しかし、かつて車載用ナビゲーションシステムができたときには、例えば電話番号で住所検索などできる機能を付けた場合に、それにより被害者の住所が特定されて、犯罪が起きた場合の、ナビゲーションメーカーの責任などに付いて、議論がされていました。
今後、住所を特定できるGPS機能付きのアプリについても、法的に問題とする声が上がってくる可能性はあります。
3 「犯人」が死亡したときの刑事手続き
本件のように、犯人と思われる人が死亡したときには、基本的に捜査は終結します。
本人が生きていない以上、裁判等(今回の場合は少年事件なので家庭裁判所での審判)が行われることはないです。
その意味で、犯罪行為として認定されることなく事件は終了します。
4 本件の弁護活動
仮に本件で犯人が生きていた場合には、基本的には少年事件として対応されます。
しかし、殺人未遂という重大な犯罪である以上、一般刑事事件として裁判を受ける可能性も否定できないです。
被害者側への謝罪と、二度とこのようなことを行わないという誓約、親族と力を合わせての更生への取り組みなどが大切になってきます。
5 刑事事件、少年事件について、いつでもご相談ください
弊所では、多数の刑事事件及び少年事件の弁護活動等を行ってまいりました。
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