複数の女子高校生を痴漢した男が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

京急電鉄の車内で、女子高校生を触ったという疑いで、26歳の男性が逮捕されたという報道がありました。

男性は、既に別の女子高校生に対する痴漢事件で捜査されていましたが、押収された携帯電話から女子高校生の写真が出て来たことで、今回の被疑事実が発覚したとのことです。

男性は、「数えきれないほどの女性を触ってきました」と供述し、事実を認めているようです。

今回は、この事件を題材に、痴漢事件の刑事弁護を解説します。

2 痴漢には何罪が成立するか

いわゆる痴漢行為には、各県が定める迷惑行為防止違反が成立します。

痴漢といっても、突然後ろから襲ったり、揉むなどの執拗な態様で触ったりすれば、強制わいせつ罪にあたる可能性も出てきます。

罪責としては、一般的には強制わいせつ罪の方が重く、強制わいせつ罪には罰金刑が無いため、弁護をしなければ正式裁判のうえ懲役刑を求刑される可能性が高いです。

男性の行為が何罪の容疑で捜査されているのか、報道からは不明ですが、痴漢として報道されている事件の多くは、迷惑行為防止条例違反として立件されます。

 

3 痴漢の逮捕の可能性

痴漢で逮捕されるケースは、現場で被害者や第三者が声をあげ、その場で現行犯逮捕されるという場合が多いです。そのような場合、罪を認め、正直に捜査に応じていれば、比較的速やかに釈放されることも多いです。

しかし、今回男性が逮捕されたのは、初めに問題になった痴漢事件とは別の痴漢事件が理由になっています。そして、携帯電話に写真が残っていたために、その事実が発覚したとのことです。あくまでこれは推測ですが、男性は、自分が行っていた痴漢行為を、同時に撮影していた可能性があります(そうであれば、撮影行為も一つの迷惑行為防止条例違反になり得ます)。

こういった逮捕は、少なくとも十分な取調べが尽くされるまで身体拘束が続く可能性が高く、弁護士に依頼しなければ、身体拘束が裁判まで終わらない可能性もあるでしょう。

 

4 痴漢の弁護活動

そこで今回のような事件の依頼を受けた弁護人は、本人に接見をしたうえで、なるべく早く身体拘束から男性を解くための弁護活動を講じていきます。

報道からすると、男性は、自己の容疑を認めているようです。一般的に、認めていない場合よりも、認めている場合のほうが、解放の可能性が高まります。

また、逮捕・勾留で身体拘束を受けている段階から、弁護人は、被害者の方との示談交渉を検討します。被疑者のご家族の方にも相談し、謝罪金を準備したうえ、被害者の方にコンタクトしていきます。今回であれば、被疑者は高校生ですから、厳密には親御様に、被疑者の反省の意思を伝えていきます。

反省の意思を伝え、謝罪金を受け取って頂いたうえ、事件のことを許してもらうことが理想です。

その様な示談を起訴前に尽くせば、初犯であれば、複数の事件であっても、全て不起訴になる可能性もあります。複数の事件が重大であるとして、起訴されたとしても、執行猶予を得る可能性が高くなります。

 

5 まずはご相談下さい

今回取り上げましたように、別件が発覚したうえでの痴漢事件の逮捕は、身体拘束が長引く可能性があるでしょう。頼れる弁護人に依頼をして、素早く身体解放や示談を試みるためには、ご家族や身近な方のご協力が不可欠です。

本人が捕まってしまい、詳しい情報が分からない、というご家族の方であっても、まずは弁護士が会いに行きますので大丈夫です。

お気兼ねなくご相談下さい。

 

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執筆者情報

原田 大士Daishi Harada

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士