自首を検討している
-自首は弁護士へ 流れ・メリットを弁護士が解説-

はじめに

自首とは、捜査機関も誰が犯人なのか分かっていない段階で、犯人が自分の犯した罪を警察等捜査機関に申し出ることです。捜査機関が犯人を特定している段階で、警察に申し出ることは自首にはなりません(出頭といわれます)。

自首をした場合は、刑が軽くなったり、免除されたりする可能性があります。さらに自首の場合は逃亡の恐れがないとして、逮捕されずに済むケース可能性も高くなります。さらに、自主を評価されて、検察官が不起訴処分や罰金刑で終わらせることもあり得ます。

いつ逮捕されてしまうのかとびくびくして生活するよりも、罪を正直に白状し、罪を償いたいとお考えの方は弁護士にご相談ください。

自首をするか迷っているが、自首の方法や流れが分からない方へ

「自首をしたいと思っているが、どのように警察に言えばいいのか分からない」「警察はちゃんと取り合ってくれるのか不安」というお声をよく頂戴します。

このような場合は、弁護士にご相談ください。弁護士は、自首後の見通しや対応方法をアドバイスします。

自首が成立するのは、捜査機関が事件を把握できていない場合や、犯人を特定できていない場合です。自首しようか迷っているうちに事件が発覚し、犯人が特定されてしまってからでは自首になりません。自首をしようと思っているが、不安だという場合は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。

自首の流れ

1.ご相談

自首を考えている方は、まずはご相談ください。本当に自首すべき事案か、そもそも自首ができる事案なのか、担当弁護士が直接ご説明いたします。

基本的には来所でのご相談となりますが、すぐにご来所いただけない場合は、メールやお電話でも承ることが可能です。

2.自首の準備

自首をご決断された場合、まずは、管轄の警察署に自首を予定している旨を伝えます。自首より前に刑事事件化すれば自首は成立しませんので、少しでも早く警察署に報告し自首の手続きを進めます。

事案の詳細を伺った上で弁護士名義の自首報告書を作成し、早急に管轄の警察署へ提出します。これにより担当警察官に事案の概要を把握させ、スムーズに自首を受理させることが可能となります。

3.自首

事前に担当警察官と依頼者の日程を調整した上で、警察署に出頭します。初回の出頭日には担当弁護士も同行し、できる限り私生活に影響を与えずに捜査するよう求めます。

当事務所では、多数の自首案件を扱ってまいり案した。当日の事情聴取にも弁護士が立ち会います。さらに、緊急事態に備えて常に連絡が取れるように待機しています。

4.捜査

自首の場合、本格的な取り調べは被害者が特定できてからということになります。警察署で4~5回程度の取り調べを受けることになりますが、その間は担当弁護士が常に警察署に状況を確認いたします。

5.送致、処分

警察での取り調べが全て終わると、事件が検察庁に送致されます。担当の検察官が決まり次第、担当弁護士が検察官と協議し、可能な限り軽い処分となるように求めます。示談等の弁護活動も当然に行います。

検察庁でも取り調べは行われますが、すでに警察署で事実関係は取り調べ済みですので、ほとんどが一回で終わります。その上で、最終的な処分が確定します。

弁護士が自首をすすめる3つのケースと対策

1.監視カメラで犯行が録画されるケース

最近、監視カメラによる記録が非常に増えています。監視カメラは駅の階段・エレベーター・ショッピングモール等、至るところに存在します。

実際の捜査が行われる際も、ほとんどの事件において監視カメラ画像の記録は捜査されています。現場近くに監視カメラが設置されていた場合は、その場は逃げたとしても事後的に特定されて、事件化するケースが多くなります。

2.「被害者本人」が気づいている、怪しんでいるケース

盗撮・痴漢といった被害者本人が危害を加えられるケースでは、被害者が加害者に心あたりがあるかどうかが、事件化につながる重要なポイントです。その場では問題にならなくても、後日被害者本人が被害届を出し、捜査を希望することで事件化することもありえます。

3.「電子記録」が残るケース

事前連絡のうえで行われる児童買春や、出会い系で知り合った強制わいせつや強姦事件が問題となるケースです。SNS等による電子データに残っている記録から、事件化するパターンです。

SNS等の電子データは、自身のデータを消しても相手方に記録が残りますし、サーバー等には記録が残っているので、警察が介入すれば復元されて事件化するケースが多くなります。

自首のメリット

1.身柄拘束を回避できる

逮捕された場合は、加害者が逃げたり証拠を隠したりするリスクがあるため、身柄拘束という強硬な捜査手法が用いられます。

自首は自分から罪を告白し証拠も任意に提出するため、逮捕の理由を打ち消すことができます。自首を行うことは、身柄拘束の可能性を著しく下げることにつながるのです。

2.職場、家族への突発的な連絡を防ぐ

自首をした際には、正直に罪を告白してくれていることから、警察も家族や職場環境に配慮し、弁護士又は本人の携帯電話などに連絡をいれてくれるケースが多くなります。職場や家族への連絡を防ぐことができる自首は、社会生活を守る上でも効果的な方法といえます。

3.供述の信用性

刑事事件の現場では、経験則的に「罪を犯した人は嘘を言っている可能性が高く、被害者側は本当のことを話していることが多い」と考えられています。加害者の供述は信用性が低く見られがちなのですが、自首をした場合は「警察の捜査が入る前に、自ら罪を告白している人だから」という理由で、供述の信用性を高めることが可能となります。

なお、以上の自首のメリットは、結果的に警察が犯人等の特定をしていた場合(つまり法律的な自首にはならない場合)であっても、相当程度認められます。当事務所でも、結果的には自首にならなかった事件でも、逮捕等を防いだ実績があります。

弁護士が同行して自首することで逮捕の可能性がさらに低くなります

弁護士が同行して自首を行うと、弁護士から警察に逮捕しないよう強く要請することができるので、身柄を拘束される可能性が下がります。

また、自首後すぐに不起訴を獲得するため、または刑を軽くするためや執行猶予を獲得するための弁護活動を開始することができます。自首をご検討されている方は、まずは弁護士にご相談ください。

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士