盗撮事件の罪状と刑罰

盗撮事件は神奈川県の場合、迷惑行為防止条例違反として1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。常習の場合は、より重く処罰されます。条例は都道府県ごとに異なり、東京の場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となる場合もあります。また、「性的姿態撮影等処罰法(正式名称は「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」)が令和5年7月13日に施行されました。これにより、撮影罪(性的姿態等撮影罪)に該当するような盗撮を行った場合、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が科せられることになりました。

加害者・依頼者がとるべき行動

01.逮捕からの初動が重要

盗撮は警備員などに現場を目撃される、または目撃者に呼び止められ警察に通報され、事件化することがほとんどです。したがって、逮捕の場合はその大多数が現行犯逮捕となります。(稀に後日逮捕の場合もあります。)

盗撮事件は、逮捕されたとしても被害者の方との示談や、身元引受の確保などをしっかりと行えれば、早期に開放される可能性もあります。また、示談により不起訴処分になり、前科がつかない可能性も十分にある事件です。身体解放や不起訴を目指すためには、迅速な初動対応が必要不可欠。できる限り早く弁護士に相談されることを強くお勧めします。

02.逮捕されたら、早期の釈放を目指す必要が

盗撮を認める場合、早急に警察署長あての上申書・調書を書くことが重要です。家族などの身元引受人がいれば、その日のうちに帰宅できる可能性が非常に高くなるからです。

逮捕後勾留され、何も弁護活動をしない場合、通常20日は身体拘束が続きます。こうなると、会社などにも事件が発覚し、それまでと同じ社会生活を送るのが非常に困難になります。まずは少しでも早い身体解放が必要となるのです。

03.不起訴処分を目指します

その後、検察庁で不起訴処分となるか、罰金刑などの刑を受けるかが決定されます。初犯で特別な器具を使用していない場合、被害者の方と示談を終結することができれば、不起訴処分となる可能性が十分にあります。不起訴となると、加害者に前科はつきません。

特別な器具を使用している場合や、同種の前科がある場合、住居侵入を伴うなどの悪質性が高い場合は、勾留されたり、罰金刑を受けたり、正式裁判となったりする可能性があります。

しかしこれらの場合でも、被害者との示談が成立すれば不起訴になる可能性もあります。盗撮事件においては、被害者との示談成立を目指すことが何より重要です。

04.盗撮を否認する場合も、すぐに弁護士へ

盗撮を否認する場合は、連日にわたる警察官や検察官からの厳しい取調が予想されます。取調に適切に対応するためにも、弁護士のアドバイスを受けることが望ましいです。

検察は、被疑者が盗撮をしたということを確信できなければ、不起訴処分を下します。仮に裁判になった場合には、裁判官に無実を裏付ける証拠を提出する必要があります。

したがって、盗撮を認める場合であっても否認する場合であっても、まずは弁護士に相談し適切な対応をとるように努めることが大切です。当事務所ではあらゆる事案に対して、示談交渉、早期の身柄の解放、勤務先への対応など、迅速に必要な弁護活動を行います。

05.会社や家族への発覚も避けられる

逮捕されて事件が報道されたり、身元引受の際にご家族に連絡が入ったりすると、事件が会社や家族に発覚する恐れが大きくなります。事件が報道される可能性がある場合、捜査機関や報道機関に対し、弁護士から意見書や上申書を出すことも可能です。身元引受が必要で奥様に知られると困る場合、身元引受には親御さんを頼るなどすべきです。

その後は弁護士にご依頼いただければ、警察・検察庁からの連絡など、全て弁護士を通して行うことで、会社やご家族などに知られずに事件を進めることが可能です。

事件発覚から弁護活動までの流れ

01.相談から受任まで

当事務所は24時間365日、お電話とこちらのお問い合わせフォームからご相談を受け付けております。ご相談は無料、弁護士が直接対応し丁寧にヒアリングいたします。 弁護活動が必要な場合は、直接面談でのご相談も行った上で、正式なご依頼をご判断いただきます。

刑事事件は早急な対応が必要ですので、ご相談の日時については、当日や夜間・休日もご調整いたします。もちろん遠方ご在住でお越しいただくことが難しい場合は、お電話やメール郵送でのやり取りでのご依頼も可能です。

02.捜査段階での弁護活動

ご依頼いただくことを決めていただきましたら、当日または翌日には、担当警察官に対し弁護人選任を伝えます。今後の捜査や被害者の様子など、可能な限りの情報収集を迅速に行います。逮捕されている場合には、早急な身体解放のための活動が必要となります。検察官や裁判官に直談判して、何とか釈放してもらえるように働きかけます。その際には、被害者への示談の働きかけ、今後二度と盗撮など侵さないための具体的な手段などを、呈してまいります。

逮捕されていない盗撮事件の場合には、2~3回の取り調べを経て2か月程度で検察庁に送致されることが多いです。(事件の内容や時期、証拠関係によって大きく前後する場合もあります)

その間に、依頼者の方には被害者やそのご家族への謝罪文のご準備をお願いしています。 どうすれば被害者の許しを得たり、不安感を和らげることができるのか。担当弁護士が、書き方についてもしっかりとアドバイスいたします。

03.報道機関、会社への対応

刑事事件の報道に一定の基準はありませんが、逮捕されていない場合(在宅事件)は、普通の会社員が通常の盗撮事件を起こしたという限りであれば、報道されることはほとんどないでしょう。事件が報道される可能性がある場合でも、捜査機関や報道機関に対し、弁護士から意見書や上申書を出すことも可能です。

事件が報道されなければ、事件が会社に発覚する可能性は低いと思われます。仮に事件が会社に発覚した場合も含めて、依頼者の方には会社への対応についてもしっかりとアドバイスしております。 事件や刑事処分の内容を踏まえ、懲戒処分等を避けるべく意見書を提出することも可能です。

04.被害者との示談

盗撮事件において、被害者との示談は非常に有効です。弁護活動の中心は示談交渉といっても過言ではありません。示談交渉は、検察庁に送致された後に検察官を介して行われることがほとんどです。初動が捜査機関を介してのものとなるので、どのように交渉内容を伝えてもらうかが重要です。

当事務所では単に「示談がしたい」と申し出るのではなく、「謝罪と被害弁償をしたい。今後接触しないための調整なども含めて話したい。」といった取次ぎを求めることを心がけています。こうすることで、高い確率で被害者との直接交渉につながるからです。

被害者との直接交渉が可能となったら、被害者の都合を最大限考慮して日時や場所を調整し、交渉を進めます。起きてしまった事件を少しでも良い形で乗り越えられるように、両者の意向をしっかりと汲み取りながら交渉を行います。

05.不起訴へ向けての弁護活動

示談ができたとしても、不起訴(起訴猶予)になるとは限りません。 特殊機材を用いていたり、余罪が多数ある場合などは、示談がそのまま不起訴につながらないこともあります。また、残念ながら示談が成立しないこともありえます。 そのような場合、当事務所はこれまで取り扱った同種事件の内容なども踏まえて、不起訴にするように検察官に働きかけます。当事務所では、特殊器具を使用した盗撮事件の場合にも、多くの不起訴処分を勝ち取ってまいりました。

06.不起訴処分告知書動

不起訴となった場合、簡単な事実確認と厳重注意の場として30分程度の取り調べが行われて事件が終了となることがほとんどです。不起訴処分の告知書という証明書のようなものを求めることもできますので、職場などに提出する必要があれば、弁護人において取り寄せています。また、懲戒処分の問題が起こったような場合にも、弁護士として会社との交渉なども行ってまいりました。

盗撮事件の弁護費用

初犯で身柄を
拘束されていない場合

追加請求一切なし

着手金 11万円 + 報酬金 44万円(税込)

盗撮事件の解決事例

盗撮事件の
解決事例一覧はこちら

盗撮事件のよくある質問

  • Q 服の上から撮っただけでも犯罪になる?
    盗撮というと着衣の下の身体や下着を撮影することを一般的にはいいますが、撮影した部位、撮影時間や距離などの撮影態様によっては、着衣の上からの撮影でも「卑わいな言動」として都道府県の迷惑防止条例違反となる可能性があります。ただ「卑わいな言動」となるかどうかの明確な基準はまだありませんので、個別具体的な事情によるといえます。
  • Q 余罪を追及されることもある?
    盗撮事件の場合でも、余罪についての捜査はあり得ます。
    特に特殊な器具(カバンや靴に仕込んだカメラなど)を使って盗撮した場合には、家のパソコンなどを押収の上、調べられることになります。また、通常のスマホによる盗撮でも、使用したスマホの中身は確認されます。消去していたとしても、復活の上確認されますので、その意味では余罪についても、警察は把握することになります。
    ただ、そうは言いましても、余罪が事件として立件されるかは別の問題です。通常は、それらの余罪があることを前提に、本件についての処分を決めることになります。つまり、余罪については、別途明確な捜査対象となることは、基本的にないでしょう。(トイレ内にカメラを設置して盗撮していたことが判明したような場合には、やはり捜査の対象となります。)
    いずれにしても、余罪については、予め弁護士に正直に話してもらえればと思います。それら余罪の存在を前提にして、弁護活動を考えていく必要があるからです。
  • Q 盗撮をきっかけに、それ以外の犯罪で逮捕されることもある?
    盗撮をきっかけに、それ以外の犯罪で逮捕される可能性があります。
    盗撮事件については、弊所でもよく相談を受けますが、逮捕されることも少なく、被害者と示談ができればほとんどの事案が不起訴になります。(但し、前科や常習性があるような場合はその限りではありません。
    中には、逮捕もされないし示談金よりも罰金の方が安いのであるから、罰金でよいと考える方もいらっしゃいます。)
    しかし、罰金で済むのは盗撮だけが発覚したような場合です。
    盗撮がきっかけとなって、それ以外の犯罪も判明する場合が多いのです。
  • Q 携帯電話や自宅のパソコンまで押収、調査の対象になる?
    盗撮事件では、盗撮したカメラだけではなく、携帯電話や自宅にあるパソコンまで押収されて解析されることがあります。その際には、消去したデータも復元されます。
    この時に、他の犯罪に関する証拠が見つかってしまう場合があるのです。
    例えば、職場や路上などで露出している自分の写真など。これは公然わいせつ罪にあたる行為の証拠です。
    それ以外にも犯罪の証拠がありますが、このところ、多いのが、児童ポルノ関係の犯罪です。
    18歳未満の女の子から児童ポルノの画像を送ってもらった場合には、児童ポルノ製造罪になります。
    それのみならず、18歳未満の児童と性交渉して、さらにその動画をとったような場合には、児童ポルノ製造罪だけでなくて、児童買春罪も成立します。
    この場合は、逮捕もされますし、罪も重くなります。
    このように盗撮から、他の犯罪、逮捕に繋がるような重い犯罪が見つかってしまうということは少なくありません。
    問題なのは、自分の行為が犯罪にあたるか否か、その行為がどれだけ重いか気付かない人が非常に多いということです。
  • Q 被害者が気付いている様子はなかったのですが、後日逮捕はありますか?
    盗撮の場合には、基本的に現行犯でないと逮捕されません。
    被害者自身気が付いていないのなら、後から逮捕される可能性は相当低いと言えます。
    ただ、私服の鉄道警察員が犯行を見ていたような場合には、その後被害者の確認を取ったうえ、逮捕にまで至る可能性もあり得ます。
  • Q 被害者に気づかれ、その場で画像を消しました。事件化することはあるのでしょうか?
    基本的に事件化しないはずです。
    ただ、犯罪自体は、スカートの下にスマホなどを差し入れた時点で成立しています。その場面を鉄道警察などか確認してた場合は、逮捕の可能性も残ります。
  • Q 職場で盗撮をしてしまいました。解雇されてしまうのでしょうか?
    盗撮の程度にもよります。たとえば、女子トイレにカメラを設置したような場合は、まず間違いなく解雇されます。
    下着の中を盗撮した場合も、解雇される可能性が高いでしょう。
    一方、顔や身体を盗撮した場合などは、解雇までするのは行き過ぎと判断される場合もありそうです。
  • Q 校内で盗撮をしてしまいました。退学になってしまうのでしょうか?
    職場での盗撮と基本的には同じことが言えます。
    ただ、学生の場合は、労働者ほど権利が守られていないので、より簡単に退学に至る事案が多いと言えます。
    当事務所でも、そのような案件を、数多く扱ってまいりました。
  • Q 未成年なのですが、家族や学校にバレずに進めることはできますか?
    既に事件が、警察等に発覚しているのですよね。それなら、親に知らせずに終わらせることは不可能です。
    学校の方ですが、中学校ならば、確実に連絡が行きます。大学なら、連絡が行かない方が普通です。
    高校の場合も、基本的には連絡が行くのですが、弁護士が対応することで、学校に知らせずに済ませる可能性もあります。
  • Q 盗撮が見つかると、逮捕されるのでしょうか?
    スマホでの盗撮など、少なくとも犯行を認めている場合は、逮捕されない可能性が高いです。
    ただ、冤罪事件の場合は、犯行を認めることはできませんね。
    以前は、事件を認めないと逮捕されていましたが、ここ数年は犯行を否認しても、逮捕されない可能性が高くなってきています。
    冤罪なら、安易に認めてしまわないことが大切です。
  • Q 盗撮事件の場合、示談は基本的に可能でしょうか?
    被害者様のお気持ちがあることなので、必ず示談ができるとは言えません。
    また、未成年者への盗撮など、保護者の怒りが強くて示談ができない場合もあります。
    ただ、当事務所では、9割ほどの事件で示談ができています。

弁護士からのメッセージ

弁護士からのメッセージ

盗撮事件は、つい軽い気持ちで行ってしまうような犯罪類型です。しかし、発覚した場合の社会的なダメージは非常に大きいものがあります。後から大変な犯罪をしてしまったと気がつくことになります。
当事務所では、依頼者の立場に寄り添い、出来る限りの親身な弁護活動を行ってまいります。事件の当事者となってしまった方も、ぜひ安心してご相談ください。