競技場で起きた盗撮事件で男性が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

山梨県の陸上競技場で競技用スパッツを履いた10代の女性をスマートフォンで盗撮したとして40代の男が、迷惑行為防止条例違反、建造物侵入罪の容疑で逮捕されたという報道がありました。男性は容疑を認めているとのことです。

この日は山梨陸上競技協会主催の記録会が行われていて、協会では撮影禁止のエリアを設け、撮影の際には受付に申し出るようにしていたとのことです。

今回は、この事件を題材に、盗撮事件の弁護活動を解説します。

 

2 公共の場で行われた盗撮事件

事件のあった山梨県の迷惑行為防止条例には、盗撮を取り締まる規制があります。それは、迷惑行為防止条例違反4条1項2号の規制です。

第四条 何人も、正当な理由がないのに、人の性的羞恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 (略)
二 公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人の衣服等で覆われている下着又は身体(次項及び第三項において「下着等」という。)をのぞき見し、若しくは撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他の撮影する機能を有する機器(第三項及び第四項において「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。

この条例により、公共の場所にいる人の衣服で覆われている下着や身体を撮影する行為は、犯罪になる可能性があります。撮影者は「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」とされています(山梨県迷惑行為防止条例14条1項1号)。

本件は、まさに陸上競技場という公共の場で、撮影許可というすきまをくぐりぬけて行われた撮影が問題になっており、報道が本当であれば、山梨県迷惑行為防止条例違反が成立するでしょう。女性は裸だったわけではなく、スパッツ姿だったそうですが、それでも撮影方法が羞恥心や不安を呼び起こすようなものであれば、条例違反になります。

なお、男性は、迷惑行為防止条例違反だけでなく、建造物侵入罪の容疑でも逮捕されています。盗撮目的で競技場に入ったと考えられるためです。山梨県の迷惑行為防止条例には、公共の場所とまでは言えない場所(スーパーや、私設のライブ会場など)での盗撮を直接規制する条文がありません。しかし、そのような場所での盗撮であっても、建造物侵入罪で罰せられる可能性が高いです。

 

3 盗撮事件の弁護活動

以上見てきたように、盗撮事件をそのままにしておくと、懲役刑や罰金刑になってしまう可能性が高いです(初犯であれば、罰金となることが多いです)。

また、報道の男性もそうであるように、盗撮事件は逮捕の可能性が高いです。起訴による処罰や、逮捕から早く身体を解放するために弁護人が取り組む弁護活動を紹介します。

まず、何よりも、本件のような盗撮事件に対しては、示談が重要です。弁護人を通じて、被害者の方に反省を示します。謝罪金を受け取っていただいた上で、事件を許して頂けるよう誠意を尽くします。

示談が成功すれば、依頼者の早期解放や不起訴を得られる可能性が高いのが盗撮事案です。

本件でも、真っ先に示談の可能性を探ることが肝要ですが、弁護活動は、被害者の方に対するものだけではありません。逮捕された事件は、逮捕後48時間以内に検察庁に送致されます。そこで、処分結果の交渉や、示談の取次ぎは、検事と話をして進めていくことになります。また、逮捕の後には、勾留という手続きに移行して、さらに身体を拘束される事件もあります。

そこで勾留を阻止するため、あるいは勾留後の釈放を申し出るため、裁判所に書面提出をし、かけあっていく必要もあります。

 

4 スピードと経験の問われる弁護活動

以上のように弁護人は、被害者への慰謝の措置だけでなく、検事や裁判所とも同時に連絡や交渉をする必要があります

もちろん、盗撮をした依頼者のもとに駆け付け、お互いに話をしながら事件解決を進めていきます。複数方向への活動を同時にやり遂げるスピード感や経験が問われます。

盗撮によってご家族が逮捕された、逮捕されすぐ釈放されたものの、これからの検事や警察のアクションにどう対応したらいいかお悩みの方は、まずはお問い合わせください。

 

執筆者・原田 大士の写真

執筆者情報

原田 大士Daishi Harada

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士